第7話 魔道具
「魔道具ですが、基本は魔石と魔導回路の組み合わせになります。魔石の魔力で魔導回路を動かすって感じですね。」
「なるほど、魔石が電池で魔導回路がコンピューターの回路みたいな感じか……。うん、そっちは専門じゃないからわからないな。まあ、【紋章学】が活躍してくれることを祈ろう。」
「【紋章学】ですか……。」
「ああ、とりあえず、その魔導回路を見せてくれ。」
「わかった。まず、これが従魔証本体の回路です。そして、こっちがサイズ調整の回路ですね。」
二つの図面を見せてくれた。
「なるほど、ここに魔石を置けば、その魔石の力でこの回路が動くということですね。」
「そうです。」
アリアさんがうなずく。これであってるのか。
「で、魔力が必要なのはどこですか?」
「ええ、回路をプレートに焼き付けるのに必要です。まぁ、最低でも【付与魔法】のレベルが3以上ないと焼き付けられないですが……。」
なるほど。だが、俺はチートだからなぁ。
「俺の【付与魔法】レベルは28だ。」
「にじゅうはちぃ!?」
また、ビックリしてフリーズするアリアさん。まあ、一般的にはLv10で天才級らしいしな。
「だからチートだと言ってます。一応覚えたので作っていきましょう。」
アリアさんを【回復魔法】で正気に戻して、作業を再開する。
「ところで、魔石ってなに?」
異世界6日目だから、まだ常識を把握できてないから確認していかないと。
「えーと、魔石ですか?魔石は魔物のコアです。解体時に見つかります。」
「そうなんだ。」
(だから、冒険者ギルドの依頼ボードに討伐クエストが多いのか。)
実際には半分は肉を求めているのだが……。
「で、作成の手順は?」
そう聞くと、魔導回路の図面と魔石、そして、ちょっと大きめな指輪が置かれた。
「まず、この指輪――――というか、ピクシー族にとっては腕輪になるかな、これに付与魔法で回路を焼き付け、魔石をはめれば完成です。」
「へーシンプルだな。」
「まー、シンプルな方がいいですよ。従魔証みたいに急に必要になるものがあれば規格通り作ればいいですからね。」
なるほど、規格だったらシンプルな方がいいのか。
「従魔証はタグに書かれたデータを読み取る魔道具で確認するので、規格通りに作らないと意味ないですからね。」
「――――――――…………タグ……読み取る……」
「……ヤマトさん。」
ぶつぶつ呟く俺を心配するアリアさん。
「マスコンキーに組み込んで、組み合わないと起動できないなら。」
「ほら、考える前に手を動かさないと、私たちの従魔証がいつまで経ってもできないじゃない。」
そう言って思いっきり耳を引っ張るミュー。
「いててててっってて。」
「まずはやることやってから。その後に考えなさいよ。」
「すまん、悪かった。俺のやりたいことに光明が射したんでな。」
俺は謝りながら説明する。
「ま、とりあえずはミューの言う通り、先に仕上げないとな。」
そう言って俺は手順をなぞりながら従魔証を作り続けた。
「まさか、ほんとにできちゃうなんて……。」
俺は1時間半ほどで183個の従魔証を仕上げた。
最初は1つ1分近くかけていたが、馴れてからは1分で3~4個作れるようになった。MPも3割も使ってない。まあ、数を作ったんでコツみたいなものはわかった。後で機関車のための魔導回路を作ろう。
「で、まだMPが残っていると。」
「そうですね。」
「で、なにを呟いていたのか気になるんだけど……。」
そりゃそうだ。でも、俺の考えることを実行するには彼女の協力を得れればいいかもしれない。
「実は、俺は異世界から飛ばされてきて……。」
俺の事情とチートに関して伝えた。
「で、鉄道を作ろうとして色々考えているわけです。」
「はぁー、よくわからないけど、すごいことをしようとしているのはわかる。」
うん、そりゃこの世界にないものを作ろうとしているからね。
「それで、魔道具で科学の代わりをしようと思っています。通信の魔道具があればいいんだけど……。」
「通信の魔道具ですか……、ありますよ。」
「あ、あるんだ。どんな風に使うの?」
仕様があるなら、俺の無駄に高いMPでごり押しすれば作れるかな。
「そうですね、大きさはこれくらいですね。」
そう言って手のひらを見せる。結構小型だな。
「それで、魔力を流すとペアになった魔道具と通信できます。」
ん?ペア?
「ペア以外の魔道具とは?」
「繋がりませんよ。」
まあこの世界なら妥当なんだろうけど、鉄道無線には難しいだろうな。ま、数があればなんとかなるか。
「どれくらいある?」
「……あまりありません。まず軍やギルドに持っていかれるんで市場に回らないですね。」
「あ、そう。」
だったら作った方が早いかも。
「うーん、明日また来ていいですか?明後日のために通信装置を作りたいんで。ゆっくり考えます。」
そう言ったらアリアさんが驚いた様子で、
「えっ、作るんですか?」
と聞いてきた。
「作りますよ。元の世界にあった物をイメージすれば、作れるんじゃないかと。」
図面作成(鉄)で図面を作れないかな……。
俺は大量の従魔証を入手し、冒険者ギルドへ向かった。魔石は冒険者ギルドで取り扱っているとのことだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます