第5話 無一文(笑)

「さて、作戦は、ヤマト殿の提案通りでいくとして、準備にどれくらいかかる?」


 会議室に戻ると、国王が決定した作戦……と言うか、俺の召喚獣に任せてくれ作戦(笑)に異議もなく、日程調整に入った。まず、作戦の中核……と言うか、いないと話にならない俺から返答する。


「俺の方はいつでも。と言うか、。」


 そりゃあ、この世界に来て一番最初の収入予定が今やってる件なんだから、まだ報酬は支払われてない。というか、飯代払ってもらってる状態だぞ(笑)。


「え、無一文?」


 と、王都ギルマス。


「おう。」

「な、なぜですか?こんなにお強いのに。」


 と王女様。


「この世界に来てその日に冒険者登録して翌日に最初の依頼の盗賊退治を受けたら裏に領主とその町の冒険者ギルドのギルマスが絡んでいたのでそのまま依頼達成をしても握りつぶされて報酬が貰えそうにないからわざわざ王都の冒険者ギルドに行こうとしたら途中で助けた人が王女でそのままお城に連れてこられた俺に?」

「「「「「「…………。」」」」」」


 いろんな方向を見る人達。おいこっち見ろ。


「と言うわけで、宿代すらないので、冒険者ギルド併設の無料で使える簡易宿泊施設とかあったら貸してください。」


 と、ギルマスに振ってみる。


「お、おう。わしが案内しよう。」

「いや、我が城に泊まっていけば良いだろう。」

「いやいや、冒険者ギルドで最高級の宿を準備しよう。当然費用はギルド持ちじゃ。」


 国王とギルマスが張り合ってる。まあ、アダマンタイトランク確定の冒険者だから、貸しを作りたいんだろう。いい迷惑だ。


「ウリアさん、お金貸してください。それで宿に泊まります。」


 そう振ると、ウリアさんは苦笑しながら


「ああ、わかった。銀貨10枚くらいで良いか?」

「そうだね、後で返すから。」

「わかった。」

「あと、宿紹介してくんない?」


 そう言うとウリアさんは笑いながら。


「ああ、そうだね。どれくらいのランクがいい?」

「そうだな~……、中の下くらいかな。元の世界ではそこまで上の人間じゃなかったし。」

「わかった。リンちゃんとかルナちゃんはどうする?」

「あー、とりあえず預かってもらえる?」

「だな。わかった、教育もしておくよ。」

「頼む。」

「「…………。」」


 俺たちのやり取りに唖然とする国王とギルマス。だって、過剰な歓待をしようとするんだもん逃げるよ、俺。そうだな、釘を刺しとくか。


「なんなら先に途中の町まで行こうかとは思ったんだけど……。」


 と、呟いたらメフィ王女から鋭い視線が国王に刺さる。そりゃ強引に割り込んだうえに王都からも出ていきかねなかったら王女がどう思うか……。


「お父様。」

「な、なんだいメフィ。」


 おお、いい笑顔で国王陛下に声をかけてるな。後ろに炎が見える。


出陣する軍の指揮官になります。王女の御前演習ならそれなりに兵がいても問題ないでしょう。」

「お、おう、そうだな……。」


 おお、国王の目が泳ぎまくってる。そりゃあ、娘を行かせたくはないのだろうけど、さっきやっちまったからなあ。

 しばらく、周りの人に助けを求めようとしているのだけど、誰も目を合わせないか、ニヤニヤとして、味方はいない。


「はあ、仕方ないな。」


 諦めた、国王はため息をつきながら、渋々了承した。うん、メフィ王女は机の下で小さくガッツポーズしてるな、あれ。


「まあ、作戦終了まで、俺とは別行動ですけどね。」


 俺の呟きに、えっという顔をしたあと、落ち込んだ。だって最初からそういう作戦でしょ。


「え~と、軍としては、王女殿下のご臨席を考えて、3日ほどいただきたいかと。」

「ギルドもあと2~3パーティに声をかけるから2~3日欲しいな。」

「では、3日後出陣する。よいな。」


 国王陛下の決定で、日程は決まった。

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