タナトフォビアの君へ

日暮 ミケ

<序章>色は雪景色

息を吸うと、冷たい空気が肺を刺して、心臓の深くがぎゅうっと締め付けられる。


季節にしては珍しい雪景色に、

写真を撮る高校生や、雪だるまを作ろうと道を走る少年たち__。


それぞれの世界があって、それぞれの大切な人がいる。


その姿を自室の窓から見つめる僕の世界には色がなくて、


春も夏も秋も冬も、生命を受けたことを呪うような、


まるでこの曇り空のような景色がもう何年も続いている。


僕の大切な人はもういない。


僕の世界に君は_____........



もういない。

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