現代風のSS集

WsdHarumaki

第1話 洞窟の青白く光る糸

洞窟の中で、青白く光る糸が垂れている。

「これがヒカリキノコバエの幼虫だ」

俺は彼女に説明をした

「この光で、他の虫を呼び寄せて捕食するんだ」


10年以上も関係を持つ彼女と外国へ旅をしている

今日は洞窟で神秘的なものを見せるために山奥まで連れ出す。

目的は財産のために彼女を事故にみせかけて殺す計画


「きれいね、こんなにキラキラしている」

天井を見上げながら、楽しそうにしている彼女をゆっくりと奥に導いた。焦ってはいけない。


日本のように安全対策はされていない洞窟は

あちこちに落とせるような穴が大量にある。

数年前に下見もした、使い捨てのサイリウムを使い、地下の底までの高さを確認した。落とせば間違いなく落下死するだろう。


「暗いわ、足元は大丈夫?」

洞窟探査用のLEDランプを使いながら先に進んでいく、そこは大きな広間のような場所で

何万匹もの虫が糸を垂らしていた

まるで銀河を見るような壮大さがある。

俺はみとれている彼女の後ろに回るとこぶし大の岩で彼女の後頭部を殴った。


ずるずるとまだ息がある彼女を引っ張る

下に落とせる穴まで近づいて、彼女を肩にかついで頭から落とそうとした

「たすけて」

弱くつぶやくと彼女は俺にしがみついた、バランスが崩れて俺も穴に落ちた


絶望感の中で、彼女と俺は穴の底に居た。出口がまるで判らない。

落ちた穴からは登れない、自分も血だらけになりながら、出口を探した

幸い洞窟はランプすら不要なほど、虫の光で明るい


穴は無数にあるが下に降りるものばかりだ、上りがない。

時間の経過もわからなくなり、携帯もつながらない。

渇きと空腹で死を覚悟したまま探す


「上り道だ」

俺はうれしさで声を出していた、出口の先が明るい。

「なんだここは」

小さなドーム状の部屋の天井は、虫が密集していた。

まばゆいばかりの天井を見上げたまま進むと、足がとられる


「タールか」

黒く濁ったタール状の沼が出来ている、真上には密集した虫がいる

戻ろうとするが方向転換ができない、足がどんどんと沈む

焦る俺は無理に体を曲げて戻ろうとした

バランスが崩れて横に倒れる、口のなかに腐敗したタールが流れ込む。

「だずけてぐれ」むせながら俺はもがいた。


ホテルの通報から警察は洞窟に向かう、管理されていない危険な

洞窟で外国人が遭難した可能性を考えた。レンジャー部隊も到着をして

ケガをした女性を見つけた。彼女は夫になる人も落ちた事を伝える


「落ちた動物が腐った池ですね」

小さなドーム状の部屋で、昆虫の専門家が調べている

「この光に吸い寄せられて、小型の動物が沼にはまるのでしょう」

「死んだ動物を、虫たちが捕食していたようです」

沼で横倒しになった男は、光る虫の糸で全身が青白く輝いている。

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