第11話 チカン、テメーこそは赦さねぇ!
注)
今回、激昂すると大変口調が乱暴になります。どうかご承知おきくださいませ。
◇ ◇ ◇
あれはもう記憶もセピアに染まった大昔のこと。小烏の口にまだ黄色のバッキンがついていたいたいけない中学一年生の頃のことです。
一学期の終わり、4校の小学校から集まった生徒はまだ出身校の仲間で固まっていて、新しいグループを作る感じではありませんでした。小烏は小学校卒業と同時に引っ越しをしたのでクラスにはまだ馴染めていません。
クラスでは外れているような数名となんとなく固まって過ごしていました。
そんな中学校までは家から徒歩15分。住宅地の生活道路で、近くに大学が2つあるような地域でした。
夏休みまであと数日というこの日の朝(確か月曜日だった)、小烏は一人でトコトコと学校に向かって歩いておりました。車がぎりぎりすれ違うのは無理というくらいの一本道。向こうから自転車に乗った若い男性がやっていく来るのがみえました。
左手に駐車場があって、小烏はちょっとだけそちらに寄りました。そうすると向こうからやってくる自転車もこちらに寄るのです。よく道を譲り合って結局同じ方向に行ってぶつかることがありますが、あんな感じです。
小烏はもう一歩左に寄ってすれ違おうとしました。すれ違いざま、スッと男性の手が伸びてきました。
右の胸を揉まれました。
今ならすかさず自転車を蹴り倒し、男性の大変デリケートで大切なところを目掛けて容赦なくカバンを振り下ろしていたでしょう。しかしその時は、まだおぼこい少女だったので、されたことが信じられず崩れるように座り込んだまましばらく立てませんでした。
何しろ「チカン初体験」、どうしていいか真っ白になった頭では何も思いつきませんでした。
その後どうやって学校に行ったか記憶にないのですが、教室に入れず保健室に泣きつきました。保健室では先生が本当によく寄り添ってくださいました。そんなコトとバカにせず、冷静に丁寧に状況を聞き取って下さいました。後で聞くとクラス担任にも家の方にも連絡をしてくれていたようでした。
「あなたは悪くないよ。
全然悪くない。
そんなことをする方が悪いんだから、あなたは今まで通りでいいんだよ。」
先生の言葉はその時とても胸に響きました。
今では制服を着て歩いてるだけで欲情しやがるアホの方が悪いに決まっとるだろうが! このボケ! と思いますが、その時は自分の人格を否定されたような気がしたのでした。何しろまだおぼこい少女なので。
それからしばらくは一人でその道を通ることが出来ませんでした。
あれからかなりの年月が経ちました。あの男性もいいオッサンになっているでしょう。一度会って、殴らせてもらいたいと思います。(心当たりのあるやつ、出てこいや!)
さて、いたいけない時期に上記の経験をした小烏も4年後には無事にJKになっておりました。地方でもお嬢様学校と言われる高校へは、自転車で大きい駅まで行き、駅から電車通学をしておりました。部活もしていたので帰りは遅くなりがち。
それは秋の雨あがりの夕方でした。
雨でこの日は自転車に乗れず、朝は自宅の最寄り駅から大きい駅まで電車で来ていたのです。が、ローカル線の悲しさ。
乗り遅れると次の電車まで一時間待ちなのです。部活で遅くなったこの日、いえ、正直に申しましょう。大きな駅の地下街で部活仲間とアイスクリームを食べていて、帰りの電車に乗り遅れたのです。
一時間も次の電車を待っている間に余裕で歩いて自宅に帰ることが出来ます。なのでこの日、雨上がりの道を歩いて帰ることにしたのでした。
駅を後にして10分ほど、大きな道の高架下のトンネルを抜けて小道に曲がった時、横から背広姿の男性がいきなり現れました。え?と思う間もなくスカートをめくりあげ、スカートの下へ手を伸ばしてくるのです。
今なら「オッサン、小学生か!」と罵ることも出来ましょうが、何しろ経験値の少ないJK。いきなり凶暴な行動をとってしまいました。
とっさに手に持った傘で殴りかかったのです。心に「あなたは悪くない」という、保健室の先生の言葉が響いていました(たぶん)。背広のオッサンは駅の方に向かって逃げ出しました。
小烏は逃げるオッサンを後ろから追いかけ、傘で殴り続けました。
「ヴォー!!! ヴォー!! この野郎!」
と、見目麗しいお嬢様高の生徒(個人の感想です)とも思えぬ雄たけびをあげつつ。
残念ながらオッサンの方が足が速く取り逃がしましたが、小烏はその足で駅の駐在所に駆け込みました。殴り続けて曲がった傘を見た警察官は、いろいろ聞き取りの後「危ないからそういうことは止めた方がいいよ。」
と言いました。(この時はいたいけないJKを気遣ってくれた言葉だと思ったのですが、今思うといろいろ含みを感じないでもありませんね)
さて、ここまで書いて何が言いたいかというと、この時「フィッシュバット」のようなものを持っていたらなぁということです。傘などという可愛いモノでなく。殴るならコイツで貴方の下の方にいらっしゃる「息子さん」を滅多打ちにしたかった。
【結論】
痴漢行為は人格への殺人行為です。いたいけなくもおぼこな少女を野獣へと変身させ得る行為です。
絶対やめましょう!
そして「いやよ。イヤよ」はマジ「イヤ」なんです。やんわり「イヤ」がっているうちに手を引きましょう。それはアナタが体面を保って撤退する逃げ道を与えてくれているだけなのです。
【追記】
とあるイベントでDJさんが不必要に体を触られたとニュースになっていましたね(2023.8.17)。それに対して露出の多い衣裳を着ている方が悪いというようなツィート(でなくて、いまはポスト?)を見掛けましたが、嘆かわしい!
触られる方が悪いわけねぇだろーが!!!
悪いのは無許可で触ったバカヤローだよ!
たとえ見目麗しい妙齢の女性(男性でも)が往来のど真ん中で全裸で仁王立ちしていても、本人が「触ってもいいのよ」と言ない限り触っちゃいけねぇんだよ!
常識だろぉが! ああん?
そこんとこ、テメーの引き出しの少なねぇ脳ミソに刻みこんどけよ!
(ここでいう「テメー」は読んでくださる皆さまでは御座いませんことを、ここに書き添えておきます)
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フィッシュバットについて仕入れた先は、こちらです。
↓
蒼翁様
『あり乾杯』より
「人の本性」
https://kakuyomu.jp/works/16816927860625905616/episodes/16817330659837351411
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人生が豊かになる(個人の感想です)話題が満載です。
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