第二話 魔法の隠れ里
「やっっっっと自由の身になれた!! そもそも聖女ってだけでなんで自分の人生を犠牲にしないといけなかったのかしら」
聖女になってからのディアーヌは常に魔力を使い、ひとりで国に結界を張っていた。当然国の外には出ることも許されず、常に力を使って疲れている状態だった。
「もうこの国を出るんだし結界魔法は解かないと。この国の人々には恨みはないけど国家反逆罪と言われてまでこの国に留まって無償で結界を張るなんてわたしには無理」
そうしてディアーヌは国を出る準備をし、結界を解いた。
「これでよし、どこに行こうかなぁ。……そうだ! 大陸の東端には珍しい文化があるって聞いたことがある。どうせ目的は何もないのだからとにかく東に向かってみよう」
ディアーヌはそれからひたすら東を目指して馬車を乗り継いだ。
*****
旅に出て二月が過ぎた頃、山道を歩いていたディアーヌは違和感を感じた。その違和感に導かれるように山の奥を進んでいくと、そこには村があった。
「何者だ!?」
突然背後から声がした。ディアーヌは手をあげながら振り向いた。
「すみません。道に迷ってしまいました。わたくしは旅の者です」
「迷ってここに着けるわけがない。この里は強大な魔力のある者しか入ることが出来ない。そもそも里の存在を認識することさえ出来ないはずだ」
「わ、わたくしは聖女です。魔力もあります。本当に道に迷ってしまっただけなのです」
男はディアーヌを見つめながら何かつぶやいた。ディアーヌの魔力量を魔力感知で確認しているようだった。
「失礼いたしました。確かにその魔力量は聖女様です。おひとりで道に迷ったということは何やら事情がありそうですね、一度里に入ってください」
そうしてディアーヌは魔法の隠れ里の中へと入って行った。その頃ディアーヌがいた国では魔物の目撃情報が相次いでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます