第6話女子の人間関係は怖い
「もう大丈夫?四季ちゃん」
「う、うん取り乱してごめん、もう大丈夫だから」
響は一度深呼吸する……そして服を脱ぐ、露わになる四季の下着、平均寄りの体型と言えるだろう、決してスタイルが良いとは言えないだろう、太っているわけではないが、腕をつまむ脂肪があるのが分かる。響は四季の見た目を取り繕ったが、朝のわずかな時間でやり切れない部分も多く、日々の習慣がものを言うことも多い。響はこのまま入れ替わりが続くならこう言った部分も改善したいと思い始めていた。
(もっと可愛くなれる余地がある!)
そんな風に響は考えながら更衣室を上着を着ながら出て運動場に向かう。
「美玲ちゃん、今日の体育ってなんだっけ?」
「何言ってるの?ずっとサッカーでまだ終わってないじゃん」
「あ、あーそっか、そうだったね」
「今日はリフティングのテストだよーやだね〜」
「そうだね」
四季との情報交換不足を嘆きながらも、放課後もっとしっかり話そうと決意する。
(向かうは大丈夫だろうか)
そんな心配もあるが、授業が始まったので教師の方に注意を向ける。
「はい、今日は告知してあった通り、リフティングのテストを行います。前回休んでいた人もいるので改めて基準を説明します。」
そう女性の体育教師が喋り始める。説明の内容は簡単で、一分間リフティングをして、連続でできた最大の数を記録し、30回出来れば最高評価を貰えるらしい。サッカー経験者であればきっと簡単な数字だろうが、サッカー経験のない人しからすれば10も行かないだろう。
「今から10分後にテストを始めるので各自練習して下さい」
そうしてみんなボールをとりリフティングの練習を始める。響も美玲の近くでリフティングをしてみる。
「あ!」
足で転がすようにボールを浮かせた所までは良かったが、ボールを上に蹴ったつもりが上手く足が上がらずバランスが崩れて、ボールは遠くに飛んでしまった。
「足でボールを扱うのは難しいなぁ」
「だよねー、何回練習しても10回も行かなそうだよー」
独り言に返事をしてくれた美玲に少し驚きつつも「うん」と返す。
「やっぱり、運動神経低いのね、桜さん、見た目を少し変えたからって鈍臭さは変わらないんですね」
突然後ろから話かけられて振り向くと、響もよく知る人物がいた。
「ところで、桜さん昼休みに一色先輩と一緒にどこかへいったって聞いたのですけど、どこで何をしていたか教えてくれますか?」
そう、孤花は響のことが好きなのだ、これは既に有名な話で、響はよくアプローチを受けていた。
「えっと……別に特別な話はしてないよ」
「ん?なんかいつもと見た目だけじゃなくて、態度まで違う気がするのですが、まさか一色先輩となんかあったのですか!?許せません!鈍臭い芋女のくせに」
そう顔を寄せてくる孤花
(少し怖い、孤花が言葉選びが良くないのは知っていたし、俺以外に当たりが強いのは知っていたつもりだったけど、俺がいないところでは、ここまでなのか……)
響は知っている、孤花がここまで性格の悪い発言をするのは俺絡みのことの時がほとんどで、普段はここまでではないことを。だからこそ少し罪悪感が湧いてくる。
「嫉妬深い人」
そう口が動いて発声してしまった。響は驚いた。そんなこと言うつもりは無かったし、心の声がうっかりとかでもない。だがそんなこと孤花には伝わらない。
「なんですって!!鈍臭い芋女のくせに」
「いや、今のは違くて……」
孤花が響の胸ぐらを掴んで引っ張ってくる。
「や、やめなよ喧嘩は」
ここまでくると他のクラスメイトも介入してくる。そうなればもちろん教師も来るわけで孤花も矛を納めるしかなくなった。
孤花はこっちを睨みつけてから、離れていった。
響きが軽くため息を吐いていると、「テストを始めるぞー」と教師の声が響く。
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