デートと手繋ぎと戸塚は消毒
燦々と黄金に輝く太陽に、思わず固唾を呑み込んでしまう程に高く聳え立つビルディングの数々。
駅前は平日にも関わらず、夏休み初日だからか喧騒にまみれていた。
人込み恐怖症なゴキブリ人間兼戸塚菌は今にでも消えてなくなってしまいそうである。
「お待たせ~!」
なんて早くも俺が夏の暑さと人込みにやられていると、背後から聞き慣れた女性の声が聞こえてきた。
グレーを基調とした優美で鮮やかなフリルワンピースに、昔ながらの夏を思わせる麦わら帽子。
素人目に見ても普段と比べて明らかに気合が入っているメイクに、美容室に行ったのかパーマが掛けられている黄金の髪。
振り向くとそこには、いつにもなくフル装備な千歌先輩がいた。
「...もしかして、少し待った?」
「はい、りこが思春期拗らせてたので早めに来ちゃいました」
......朝のような尋問が夏休みの終わりまで続いたら、クソ雑魚なゴキブリ人間兼戸塚菌の場合、千歌先輩との関係が全てバレてしまいそうで怖い。
「も~恋人ならそこは今来た所だよって言うのがお約束じゃん~!」
「けっ、そんな幸せリア充の常套句なんて知らねーよ」
「物語とかでも使われるから一般的だと思うよ!?......恋人になっても唐突な辛辣は変わらないんだね...」
ちなみに俺の常套句は【ゴキブリ人間】と【戸塚菌】である。
この言葉は使うと客観的にみても事実だからか、みんな哀れんでくれて優しくしてくれるので大好きであるHAHAHAHA
「今日はどこに行くんですか?」
「行ってからのお楽しみかな~?......でも、任せてよ!お姉さん頑張って色々と考えて来たから楽しさは保証するよ!」
「お~楽しみです」
ロック関係と言っていたので、わりとマジで楽しみである。
センス皆無であることで有名な戸塚ウイルス兼ゴキブリヒューマンな俺が考えてのではなく、センスありまくりで陽キャな千歌先輩が考えたのだ。
そんなの楽しいに決まっている。
「なら、いこっか...?」
千歌先輩はどこか緊張した面持ちで右手を差し出してきた。
「ん......?どうしたんですか?」
「ど、どうせおためしで付き合うんならさ......手、繋ごうよ」
「人間の手って便器と同じくらい汚いらしいですよ。それがゴキブリ人間になったら......考えるだけで恐ろしいです。。。今は消毒スプレーがないですし、今度でいいんじゃないですか?」
ちなみにこれは実話で小学校の時、遠足で手を繋ぐことになった女子にファブリーズ10プッシュされたHAHAHAHA
殺菌、消臭効果は抜群でゴキブリ人間のメンタルもブレイクした。。。
「.......お姉さんと手繋ぎたくないの?」
「そういうわけじゃないですけど」
「なら、ぎゅ~!」
......何の前触れもなく握ってきた千歌先輩の右手はひんやりとして冷たく、柔らかかった。
「よし!今度こそいこー!」
かくして俺のデートが始まったのだった。
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