【悲報】リア充にDisられて修羅場になってしまう

 翌週の月曜日の午後16時。

 皆が憂鬱な授業が終わり今、まさにゴールデンタイムが幕を開けた。

 正直、ぼっちな俺にはこれから何かあるという訳ではないのだが、それでもワクワクしてしまう。

「これからどうする?」

「え~カラオケ行こ?」

「うおお!いいじゃん!」

 クラスでは陽キャたちが放課後の計画を立てている。

 爽やかでまさに青春をしてる彼らを眺めながらバッグに荷物を入れる。

 余談だが、俺は青春を「アオハル」と言う奴らの神経が理解できない。

 どうしてわざわざ訓読みにしたんだよ...!

 別にそのまま読めばよくね!?

 なんて、アオハルをディスっている間に荷物をまとめ終えることができた。

 立ち上がり様に陽キャの一人と目が合う。

「戸塚だっけ?あの人いつも一人でいるよね~」

「わかる~なんか何考えてるかわからないし」

「なんか怖いよね~」

 おい...!一軍の縋りついている哀れな女子たちよ。。。

 これだけは言わせてくれ。

「おーーーーい!ボロクソに言われたけど、俺のことを話題に出してくれてありがとうございます!なんかーーー!自分の存在が認められたみたいで最高に気持ちいいです!」

 少し、距離があるということもあり俺は珍しく声を張り上げ思いを伝えた。

 ふぅうう!

 さいっっこうにアオハルしてるぜ!

「「「.......」」」

 女子たちはなぜか何の返事もなくだんまりを決め込んだ。

 さ、さみしい~!

「あはは、相変わらずだね。でもホントごめんね...?」

 なんて青春ラブコメをしていると、クラス1の陽キャで男女関係なく莫大な人気を誇る委員長春風 里香が話しかけてきた。

 小動物を連想させる華奢な身体に猫のように愛くるしく、目鼻立ちの整った顔。

 今時風に着崩された制服は美しいショートカットの黄金の髪を際立たせるようだ。

「久しぶりだね...?小学校ぶりかな?」

 そう、彼女と俺は幼馴染である。

 だが、あの一件以来俺が転校し中学も別々ということもあり、一切の関わりがなかった。

 それに高校に入学してから早2か月、お互いに会釈する程度の仲である。

 なぜこのめちゃくそ陽キャはなぜ俺なんかに話かけてのだろう。

 ......あっ!そういうことか!

 慈善活動だな!

 俺みたいな恵まれない雑魚を気遣ってくれているんだ!

 流石、真性陽キャ。。。

 ふっ....やるじゃねぇか...!

「き、聞こえてたかもしれないんだけど...みんなでカラオケいこ!って話になっててさ...一緒に行かない?」

「もう、自己承認欲求満たされたしいいかな。それに俺みたいなゴミカス野郎が行ったってしらけるだけだけだろ。それにあの女子たちも嫌だろうしな!HAHAHA」

「ご、ごめんね!あの子たちには私から注意しておくからさ?うん。...やっぱり、気にしてる?ってあはは...!当たり前だよね...ごめんね」

 あらら?...なんか謝られちゃったわわわ。

 千歌先輩ならノリノリでツッコんでくれるのにと思ったが一般ヒーポーにそれを求めるのは酷だったのかもしれない。

 あっでも、春風はパーリーピーポーか!

「なんで、謝ってるのかサッパリだけど、もう帰っていい?」

 社会不適合者の俺はもうこれ以上この場にいたら青春嫌悪症候群でバタンキューしそうである。

「ごめんね...!ま、待って!...私ね、償いの!そしてまた幼馴染に...も、戻りたいって言うか...自分勝手でごめんね」

 俺はそんな言葉を聞き流し、青春コンプレックスから身を守るため教室から出たのだった。




「...えっ?あいつと春風ってどういう関係?」

「えっ、わかんないよ...聞いてみれば?」

「え~」

「ってか吉田と春風っていい感じじゃなかったのかよお~」

「一応いい感じだよ...あの陰キャがきしょくて邪魔だけどな」

 私はただ茫然としていた。

 分かっている。

 これは独善的で酷く醜い私が招いた結果だ。

 わかっている。。。

 それで私が気に病むのは間違ってているし、一番の被害者である彼に失礼であるということも承知の上だ。

 でも、でも。。。

「...ほんとにごめんね優くん」

 私は誰にも聞こえないくらいの声量でそう呟いた。



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