第49話 燃え盛る闘志

「イプーああ、美味かったイプー」


「ヤプーお腹満腹だヤプー」


 


 赤いトカゲ達は仰向け腹出し状態になり満足していた。




「良かったですね、トカゲさん達。じゃあレンさん、僕達もそろそろ作業を始めましょうか。仕事ですよ仕事」


 


 俺の腕を掴みながらマシュー君が言った。




「そ、そうだね。ちょっとマシュー君、そんなに急かさなくても。いきなり立つと気持ち悪いー」


 


 実は、俺は仰向け状態で寝ていたのだ。調子に乗って佃煮海苔を10発くらいぶっ放した結果である。マシュー君に無理矢理立たされてフラフラ目眩がする。




 魔力枯渇の症状だ。




 俺はただ赤トカゲ達の喜ぶ姿が見たかっただけなのに。




「イプーお礼してやるイプー」


「ヤプー加護くれてやるヤプー」


 


 トカゲ達はそれぞれ俺とマシュー君の肩に這い上がってきた。




「イプーなんだ、加護持ちかイプー」


「ヤプー加護持ちにはやれないヤプー」


 


 トカゲ達は残念そうに言った。




「その加護、他の人に与えてもらえないか」


 


 俺は立ち眩みしながら言った。


 加護は戦力アップに繋がる。ここで逃す手はない。




「イプーいいぞ、人間イプー」


「ヤプーお前に着いてくヤプー」




 キルギス村に戻ると、偶然にもカマラと遭遇することができた。




「イプー赤い髪の人間イプー」


「ヤプーこいつ、親分の国の人間ヤプー」


「イプーこいつにしようイプー」


「ヤプー俺達の加護は燃え盛る闘志ヤプー」


「イプー身体能力も上げてやるイプー」


 


 トカゲ達はカマラの両肩に這い上がった。




「な、なんだこのでかい2匹のトカゲは。レンさん、イタズラはよしてくれないか。あなたのイタズラ好きは団長から聞いてる。いい大人が赤いトカゲのドッキリをしかけるなんて防衛団内でまた炎上するぞ」


 


 カマラが呆れた口調で言った。




 結果。




 赤いトカゲの加護を受けたカマラは黒色ウルフを5分かからず倒せるようになった。

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