第38話 山田純太インザダーク

「レンしゃん、お帰りなしゃい。あのでしゅね、レンしゃんにお客さん来てましゅよ。頬は痩せこけ、凄い暗い形相で、翳を纏ってて、負のオーラバンバン放出してて、しかもボロボロの黒い奴隷服みたいなの着ててなんかもう見てるだけで切なくなるような人でしゅ」


 


 メアリーちゃんが狩猟から帰ってきた俺に、ぷるぷる震えながら言った。


 


 この世界に知り合いなどいるわけない。そんな奴、俺は知らない。人違いじゃないのか。




「ああ、やっと会うことができた。良かったよ、本当にいてくれて。成田蓮さん。俺は千葉から異世界転移させられた山田純太、30才だ。よろしく頼む」


 


 薄暗い影を纏った男が言った。




 まさかの異世界転移者きたー




「まずはどういう経緯でここに来たのか説明させてもらう。質問はその後にしてくれ。じゃあ始める。俺は千葉にいた頃は振り込め詐欺とか悪徳情報商材販売なんかで金稼いでた小悪人だ。騙される奴らが悪いって感じで人を騙して楽しんでた。巻き上げた金で酒飲んで薬して楽しく暮らしてたよ。女にももてたしな。ユーチューブとかインスタじゃ豪勢な暮しをアップして自己満かましてな。それにまた騙されるバカどもいて。そしたらだ、いきなりだいきなり。闇の存在とか言う奴が俺の頭の中に現れた。そいつが語りかけてきたんだ。お前にはミグドールがお似合いだって。そして、俺は冥地球グリームヒルトの帝国ミグドールという国に転移させられた。帝国ミグドールってのはこの国の隣国だ。これが約1年前の話。帝国ミグドールにおっぽり出された俺は苦労したよ。金はないし、この世界の知識なんてまったくない。おまけに帝国ミグドールの住人は悪い奴ばっかで何度も殺されかけた。結局、俺は変態男色親父に拾われ、そいつの性奴隷として生きることになった。俺のプライドはズタズタになったね。何度も死のうと思った。でも死ねなかったけどな。でだ、ここからが本題なんだが。3ヶ月くらい前にまた闇の存在を名乗る奴が俺の頭に現れた。グラッド王国のキルギス村に成田蓮という転移者がいるから、そいつをなんとしてもキルギス村から離れさせろっていうんだ。なんでも、キルギス村は厄災の因果が組まれているらしく、もし成田蓮がこのまま村にいると成田蓮も死ぬことになる。成田蓮が死ぬとうるさい存在がいる。だから俺にメッセンジャーになれってな。俺の話はこんな感じだ」


 


 山田純太はダーク色を醸し出しながら言った。




「うーん、考える時間を少しくれ」


 


 俺は言った。

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