第20話 山狩り

 天地球グリームヒルトに転移してから1ヶ月たった頃、俺とマシュー君はギルド長ヘンリーに招集をかけられた。




「よっ、久しぶり。あんた元気にやってるみたいじゃないか。マシューとも上手くいってるみたいだし、俺は嬉しいよ」




 ヘンリーは俺を見るとフランクな感じで声をかけてきた。




「今日、呼び出したのは例のハイゴブリンの件だ。今度は防衛団の若い2人組が襲われてな。重症を負っちまった。やはり、ハイゴブリンは3匹で行動しているらしい。でだ、防衛団とハンターギルドが協力して山狩りをすることになった。防衛団の参加者は村の若い衆含め43人。ハンターギルドは俺とマリアを抜かした8人全員。ハンター1人に防衛団7人が付く。ただし、マシューとレンさんには防衛団長のバルガス一人だ。マシューとバルガスは実力が飛び抜けてるからな。8人が6組と3人が1組の計7組で一斉に山を探索してハイゴブリンを見つけ退治してもらう。いいかい、レンさん。あんたもれっきとしたハンターギルドの職員だ。参加してもらうぜ」




 話を聞いた俺はヘンリーに一つの疑問を投げかけた。




「ヘンリーさん、ハイゴブリンってどのくらい強いんですか?」




 ヘンリーは少し考えこんでから言った。




「そうさな。ゴブリンより強いのは当たり前だ。ゴブリンの上位種だからな。けど、マシューやバルガスだったら1対1なら負けねえと思うよ」


「なるほど、俺という超越破壊魔法兵器もついてることですしね。ヘンリーさん、俺必ずハイゴブリン倒してやりますよ。俺のこの佃煮海苔魔法で」




 俺は真顔で言った。




 ヘンリーには見えないだろうがマシュー君が俺の背中を思いっきりつねってきた。




 マジで痛いからマシュー君、やめてくれないかな。




 へぇー、君って上司であるヘンリーの前じゃ笑わないんだ。哄笑してくれないんだ。




 随分と空気読む男だね、若いのに。

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