第18話 小銭稼ぎ

「では、これによろしくお願いします、レンさん」




 マシュー君が俺に木の皿を差し出しながら言った。




「マシュー君の頼みだから、まあしょうがないねぇ」




 俺は鷹揚に頷くと木の皿に佃煮海苔を出してやった。




「ベチョ」




「ありがとうございます、レンさん。今日の夕食がとても楽しみです。ふかしポテトにこれをつけて食べるのを想像すると胸がドキドキしてきます。こんな美味しい食材始めてですよ。ピンク兎なんて目じゃないです」




 マシュー君が嬉しそうに言った。




 実はこの佃煮海苔は無料ではない。マシュー君からは銅貨5枚を搾取している。マシュー君はB級ハンターだから当然、俺よりも給料はいい。毎日、銅貨5枚払うのなんてわけないだろう。




 俺は金を貯めたかった。俺の給料は月に金貨15枚。宿賃を引けば残りは9枚くらい。これで生活していかなければならない。しかも、現在は給料を前借り状態でありマイナスなのだ。マシュー君から毎日、銅貨5枚を搾取したら月に金貨1枚以上は確実だ。




 グフフフ、俺はほくそ笑んでしまった。


 俺って結構、せこいんです。

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