第6話 ヘンリー
ギルド長は壮年黒髪の渋いオヤジだった。
「話は理解した。俺の名前はヘンリーだ。よろしく頼む。でだ、あんたの記憶が戻るまでの生活なんだがあんた、マシューの相棒やってみちゃどうだい、マシューには相棒がいたんだが先日、ハイゴブリン3匹相手に負傷しちまってな、引退した。マシューは強いし、なんとかなるだろ。荷物持ちとかそういう役割でも十分だ。給料はもちろん出すぜ」
それを聞いて俺は悩んだ。マシュー君の相棒を務めるとなると命の危険がある。さっきのゴブリンにすら心折れた俺だ。元々、非力で闘争本能も低い出世街道とは縁遠い派遣社員の俺。戦える要素があるとするなら、この佃煮海苔魔法を練り上げモンスターに通用するまで高めることだが。異世界転移物ならありうるかな。
「そうですね、レンさんには食料とかの荷物だけ持ってもらえるだけでも助かります。僕、スピード系なんで身軽でいたいんです。狩猟、戦闘は僕がこなしますし、万が一強敵と遭遇したら逃げましょう、僕からもお願いします。今、ハンターギルドは人手が足りなくて」
美少年に頭を下げられた俺は長い葛藤の末、この話を了承することにした。
異世界で出世してやろうじゃないか。
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