おわり

郁野ゆじあ

第1話

私じゃダメだっていうのは年末から気がついていた。


でもそれが確信に変わったのは、昨日の夜に電話をしたとき。

春休みの旅行の計画の電話。

地球規模で見たら大した距離じゃないのかもしれないけれど、一学生の私から見たらかなりの距離。一年に会えるのは貴女が帰ってくる長期休みの時の数回だけ。私も貴女もまめに連絡を取るタイプじゃないから、数ヶ月に一回の電話でたくさんのことを話すの。学校のこと、アルバイトのこと、好きな本やアニメ、最近変わったこと……


好きな人ができたんだって。


「好きな人」私くらいの年齢の子ならみんな気になっている。

そんなことは分かっている。でも貴女から好きな人という言葉が出たのが私の心の響いたの。


やっぱり私じゃダメなのね。


貴女に好きな人ができたのならば、私は友達として応援してあげなくては。友達なの私と貴女は。


でも、私気がついてしまったの。貴女が好きな人ができたと言った時に。貴女の1番が私じゃなきゃ嫌な自分に。本当に嫌なやつ、大好きな貴女の恋の応援もできないなんて。


私の一番は貴女。ずっと貴女が好きだったのだ。女同士だからそれは友愛だと思っていた。友達として大好きなのだと思っていた。しかし、それは違った。


私は貴女の好きな人に嫉妬している。


打ち明けられた時に気がつくなんて遅いな。私は貴女がずっと大好きだったの。これが恋愛感情なのか。


知りたくなかった。


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おわり 郁野ゆじあ @yujia_19

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