誘い

私はこのままダイブマスターコースに進もうと思う。


それが今の私の『やりたいこと』


この前の緑章国際大学ダイビング部の合宿の帰り道..


「桃ちゃん、お疲れだったね。本当に助かったよ。ありがとう」

「いえ、私なんて少ししか役に立てなくて」


「そんなことないよ。ダイビングビジネスでアシスタントがいると本当に助かるんだから。インストラクターには本当にありがたい存在だよ。それに桃ちゃん、生徒さんに何かを伝えてくれたでしょ。そのおかげで生徒さんのやる気が凄く変わったもん」


詩織さんからそんな言葉をもらえると少し誇らしく思えてきた。

私がやったことなんて雑用、事故者役、生徒さんの質問に応えるだけのもの。

でも、確かに私自身も遣り甲斐を少し感じていた。


『楽しかったです』


生徒さんからこの言葉を聞いたとき、私の『大変』が『満足』に変わったのを感じたんだ。


「ねぇ、桃ちゃん、提案なんだけど、このままダイブマスターコースに進む気はない? もちろん嫌なら断っても構わないけど。でも、このままダイブマスターのインターンシップコースを受けてくれたら講習料はいらない。現地で使ったシリンダー料金や施設料だけの自己負担でいいよ。ちょっとしたGive&Takeだけど、どうかな? 返事はいつでもいいから考えてくれないかしら? 」


その時はすぐに返事はしなかったけど、私の心はチャレンジしてみたい気持ちで、ほぼ答えは決まっていた。

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