発端
「さて、今回の能力把握試験どうするかね~」
椅子に腰かけ、背を預けてくるくると回る男が一人、部屋の中でつぶやく。
「そんなに悩むものですか。・・・いつも通りでいいのでは」
その男の近くでパソコンに打ち込みをしていた女性が顔を上げ言う。
「いやー、そうなんだけどさー。つまんないじゃない、いつも通りがずっと続くと」
「でも、それが大事なのでは」
「それもその通り」
きっぱりとそう言いながらも、納得がいかないような顔しながら天井を見上げながら椅子で回っている。その間に残りのデータを打ち込むことにし、顔をまた画面に向ける。
しばらく、たまに「うー」、「むー」と聞こえることはあったが静かな時間が続く。
そして、あっ!!!という声が部屋に響いたのだった。
「どうしたんですか?」
「いやー、思いついたよ。いい方法」
うーん、なぜだろう。この人が言うと、あれなんだよな。どっちかわからないんだよな。
「うんうん、いいいい」と自分でうなづいている。そして、小さなな声で、「・・・一石二鳥にもしかしてなる?俺天才!」的なことまでつぶやいている。
うーん。怖いけど、この人がここまで楽しそうに考えているなら、きっと楽しことにはなり悪い方向にはいかないだろう。・・・・それでも、仕事が増えそうだ。
「じゃあ、内容をまとめるよ!後で見てくれると助かる」
「はい、わかりました。できたら言ってください」
彼はテンション高めにいい、作業に取り掛かる。私も自身の作業に集中した。
その数日後、プレ案ができたと言って企画書を見せてきた。・・・・目を通す。
「あのーー、これ本気ですか?」
「本気だよ」
とすんなり返される。・・・これ上に通るかな。ともう一度目を通しながら考えていると、彼は言ってきた。
「いや~、そういえば前にある人達と話してたことを思い出してさ」
「えっと、なにを?」
「ふ、ふふふ。”さいきょう”って何だろうってことさ!!」
ともったいつけながらも言ってくる。
そして、力強く断言する。
「・・・だったら、決めようじゃないかってね!!!!」
と勢い良く言い、「もちろんそれだけが理由じゃないけどね」と伝えてくる。とんでもないことを考えるものだ。
企画書を持ちながら、天井を仰ぐ。さぁ、忙しくなるな、、、、、。
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