第87話 日常
前話までの至って
「なぁ、もうこれで良くない?」
「いや、やっぱこっちが…………こっち着てみて」
「お、おう」
元々そんなに数はないんだが…………これで何度目の着替えだろう。今日の彼女は白いノースリーブのトップスと短パンだ。足から見える肌がとても眩しい。
「んー。やっぱ白だとシワが目立つね。アイロンしないとだめかなぁ」
「い、今からアイロンするの?」
「しないの?」
「―――――します。させてください」
―――――睨まれてしまった。普段あんまり白いシャツ着ないから、タンスに入れっぱなしなんだよなぁ。なんか、特有の臭いもしてるし。
「じゃ、シャツはこれで…………それじゃ、ボトムは――――と」
「ま、まだ選ぶのかよ。もう、これで良くない?」
取り出したジーパンはお気に召さなかったようだ。また衣装選びが始まってしまった。つ、疲れて来た。だけれどその疲労は悪い気はしない。
ちょっと暇になったので、サオリのお尻をサワサワして時間を潰す。それを彼女ししばらくの間は無視をしていてくれた。今までハグする度にさり気なく触ってたんだが、どうやらこの刺激にも慣れて来たらしい。人間って慣れるんだな。
「って、ちゃんと選んでよ。この手は暇なのっ!」
そう言いつつ、サワサワしてた手を弾かれてしまった。なので、今度は肩を揉み始めた。この程度では、俺はメゲない。
モミ、モミ、モミモミ………
「んもう。なんで邪魔するのよ」
「だって俺が選んでも、これで良いって言ってくれそうにないし」
「…………じゃ、次はこれ履いて」
そう言いつつ小さいに頃履いてた短パンを出してきた。たしかに今のサオリの服装とは合うけれどさ………………。
それにしても、短パンはどうなんだ?
「流石に合わないと思うんだが」
「いいから一度履いてみて」
まぁ、一応試すか、そう思って部屋着を脱ぎ始めた。
「ちょ、先に言いなさいよっ!?」
「どうせ下着履いてるし。それに着替えろって言っただろっ」
「そうだけれど。雰囲気って物があるでしょ」
「オマエは、着替えに何を求めてるんだ……………っていうかやっぱり入らないよ」
き、きつい。具体的には腹のところで閉まらないし、太ももも部分も狭い。こりゃもう履けないな。
「まぁ、そうだよね。それじゃ、これはもう使わないっと」
そう言いながら、サオリは服を仕分けしていく。実は
それにしてもこれからアイロンするのか…………いつ外に出れるんだ。
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―――――――そうしてやっと俺たちは、準備が出来て家から出れた。
「は、腹減ったんだけど…………」
「そうだね。どこ行こっか?」
「んー、コメダ行きたい。そろそろ新作の期間限定商品が出てる頃だし」
「別に良いけど、あそこ行くと長くなっちゃうんだよねぇ」
「だなぁ」
「まぁ、いっくんが行きたいなら良いよ」
会話しつつどちらからともなく手を繋ぎながら、二人で服の色を合わせたコーディネートをしている俺たち。ペアルックとまでは行かないが、色合わせしているだけでなんだか心が昂揚してくる。
それに、隣のサオリの顔を見ると彼女も楽しそうだ。提案して良かった。
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――――ショッピングモールの中にあるコメダ。
この店は相変わらず来客が多く賑わっている。スタバも悪くないけれど、俺はこっちの方が落ち着く。気取らない感じが好きなんだよな。軽食も、量が多くて全然軽くないのもお気に入りだ。
「席どうする? テーブル?」
「んー。カウンターかなぁ。いっくんとくっ付いてたいし」
「そうだな。カウンターにしてもらうか」
そう言いながら、体を寄せてくるサオリがめちゃくちゃ可愛い。これ俺の彼女なんです! そう叫びたくなる。
「お店入れるまでに時間かかりそうだから、ちょっとトイレ行ってくるね」
「それじゃ俺も行こうかな」
店先で、整理券を受け取ったんだがすぐには俺たちの順番にはならないようだった。なので今のうちのトイレすませとくか、という話しになった。
今は少しの間も離れたくはないのだけれど、こればっかりはしょうがない。まさか一緒にトイレに行く訳には行かないしな。いや、多目的トイレがあったか………よくエロ漫画で、
手馴れてるカップルなら使えるんだろうか? しかし俺たちにはまだハードルが高すぎる………。
と、アホな妄想してたら若干息子が反応してしまったから。そのせいで仕舞い辛い。
妄想しながら長い方のトイレを済ませて、モールの通路側に戻るとサオリがナンパされてた。
つづく
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あとがき
女の娘と休日一緒に出かけようぜ!
からが長い()
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