第32話 幼馴染も大変なんだな

 ピンポーン、、、ピンポーン


 まだ、空が赤みを差していて、青さがない頃。玄関のチャイムが鳴っていた。

だけれど、俺は動きたくない。昨日はなぜかうまく寝付けなかったんだ。

多分、昨夜からいろいろ考えすぎてたんだと思う。

ちょっと寝ると起きてしまう。と言う事を何回か繰り返してしまっていた。


 玄関のチャイムの件に話を戻そう。


 まだ早い気がするけれど。来ているのはきっとサオリだ。合鍵持ってるし放っておいてもいいかな。と思う。


 そんな事を思いなら放って置くと。


 玄関のドアが開く音がした。

そしておそらく、サオリが「おじゃましまーす」と言いながら入って来ているところだろう。


 そしてしばらくすると俺の部屋に入ってきた。いつも部屋の鍵はしてない。今は一人暮らしみたいなもんだしな。


 「いっくん。おはよ。寝てるかな?」


 そう言いながら、声をかけてくるが、今はとにかく眠い。

もうちょっと寝ないと今日の授業を受けられる気がしない。

そんな事を思いつ、寝たふりを続ける。


 そうしていると。サオリが部屋を出ていった。

朝飯の用意をしてくれるのかもしれない。。。そう思ってたんだが。。。違った。


 どうやら弟の部屋で制服をわざわざ寝巻きに着替えてからやってきたんだ。

寝巻き自体は弟の部屋に何着か置いてあるから、

寝巻きに着替えられる事には驚かないが、なぜ今?

と思いながら、寝たふりを続けてると。俺に添い寝してきた。


 しかも抱きつきながらだ。どうしよう、と思ってると。

もっと強く抱きしめられた。え、ここで起きたらどうなるの?

と思ったけれど。今はとにかく眠い。。。昨日はよくねれてないんだ。。。

誰かが隣にいると安心するな。

と感じていたら、今ならよく眠れそうな気がして来た。

その直感に従い眠りに落ちる事にした。。。


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 そして、俺の目が覚めると隣に居た筈のサオリは居なかった。

頭ボーとしていたし、夢だったのかな。今は頭がスッキリしている気がする。

そう思って、目を擦りつつリビングに出ると声を掛けれらた。


「いっくん、おはよ。よく寝れた?」


「おはよう。昨日は寝つきが悪かったんだけど。なんとか寝れたよ」


「何かあったの?」


「いや、よく分からないけど。なんか寝れなかった。でも今は大丈夫、かな」


「それならいいけど。シャワーしてきたら?」


「あぁ、行ってくる」


 シャワーを浴びて、身支度をする。その後、脇に昨日買ったジェルタイプの発汗を抑えるものを付けてみた。んー。これで多分大丈夫かな。


 リビングに戻ると、サオリが朝食を作って迎えてくれていた。

俺が座ると、隣合う様に配膳されていたので、サオリが隣あって座った


「ありがとう」「「いただきます」」


 そう言って、二人で食べ始める。特に会話は無いが、居心地の悪さはない。

ちょっと、ネットニュース見たくなるけれど。

食べながら、スマフォ見ているとサオリに怒られるのでそれは出来ない。


「今日の放課後も遅くなりそう?」


「んー。そうかも。多分。リナちゃん今日の夜うちに泊まる話になってるし。どうしようかな」


「金曜日だから自宅で一回着替えたいかもしれないな。ちょっと朝聞いてみるよ」


「うん。そうしておいて」


 今日もサオリを駅に迎えに 行く? とすると駅周辺で時間潰した方が良さそうだなぁ。でも晩飯どうしようか。そう逡巡していると


「晩御飯は?」


「んー。俺は別で、なんかその状況で、行くと変な雰囲気になりそうだし」


「そうかなー? アタシは気にしないけど」


 いや。気にしろよ。なんか変な状態だろ。。。俺の考えすぎかもしれないが。

その話が、うちの親にも話が行って、からかわれるのは嫌だぞ。

悪乗りしてきそうだ。特に俺の母親が、息子達の話をあまり聞かないからなぁ。。。


 そんな話をしつつ。食事を終えたので、またサオリに洗い物を先にしなさいと言われたので、大人しく従ったあと、部屋に戻って制服に着替えた。

もうすこし寝たい気もするけれど。ひとまず目が覚めて来たので問題ない。

洗面台に向かってネクタイを見直して。。。これでよし。


 リビングに戻ると、サオリはスマフォでニュースを見ていた。


「なんか面白いニュースあった?」


「んー。特には」


 ふと気になって、ちょっとだけ覗き込むと芸能ニュース関連だった。

でも、俺には一体何が面白いのか分からない。知ってる芸人の話なら少しは興味を惹かれるけれど。知らない女優さんの熱愛報道とか見ても、自分の生活とは関係がないから。あまり興味が湧かない。


 あ、でも、この間、Vtuberの人が動画配信中に誤って自分のデスクトップ画面を映してしまって、そこに海賊版のAV動画ファイルがあった。と言う話はちょっと面白かった。


 あー、そういうの見るのね。と言う気持ちと。動画配信って用は、仕事中だよね?

仕事時間にAV動画を見やすい位置に置いてるの? っていうか海賊版かよ。

とツッコミどころが多すぎた。


 そんな事を思ってるとサオリが


「周りの娘が見てるって言うから見てるだけ」


 本人が興味ないならそんなの見なければいいのに。。。と思ったけれど。指摘はしなかった。本人も面白いとは思ってない様子だから、放っておいたらその内やめるだろうし。


 しかし、高校デビューするのも大変なんだなぁ。

そんなに大変なら俺はデビューしなくていいや。


つづく

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あとがき


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