第30話 好きなの?

「なんでもない。アンタは私にお世話されてれば良いのよ。ずーっとね」


「なによ。嫌なの?」


 俺がなんて答えるか困った顔をしていると

目の前のサオリは良い笑顔で笑っている

それは、サオリが高校生になってから見れた笑顔の中で、一番楽しそうな顔だった。


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「嫌じゃない」


「ふふ、そうでしょう。アタシみたいな女の娘にお世話されて嫌なわけないよね」


「まぁな、サオリは超可愛いし。ご飯美味しいし。ずっとお世話してくれるならお願いしたい」


・・・・・・・・


「そこまで真顔で返されると困るんだけど」


 目の前のサオリが、

見たことないほど顔を真っ赤にして俯いてしまった。


 あれ? もしかして褒め殺しに弱かったの!?

もしかして、褒め続けたららもう、ツンツンされない??

俺、幼馴染の攻略法間違ってた!? よし、どんどん褒めて行こう。


「サオリは最高だよ。ほんと。いつも気にかけてくれるし。ずっと一緒に居たい。体もとってもエッチになったし。」


「うんうん。そうでしょ、そうでしょ……………………は? 今なんて言った?」


 途端に空気が氷ついた。


 体がエッチなのは褒め言葉ではない? 


 そうだな。。。

すでに致しているカップルなら普通でも、俺たちまだ付き合ってないもんな。

この場合、おかしいのは俺だ。。。


「いや、、、女性として、とーっても魅力的だよ。ってことだよ。うん」


「ふん、どうだか」


 サオリは、そっぽを向いて怒ってる様だけれど、口はニヤついて居る。

何かが刺さってはいるようだ。でもそれを突っ込むのは怖いな。

お互い話しかけられずにいると、その分食事が進んだ。

そうなると周りの音が妙に大きく感じる。


「そろそろ帰ろうか」


「うん」


 そして、俺たちはモスを出て、二人で自宅へと歩いている。

またお互いに話しかけづらい雰囲気になってしまった。

これじゃ、俺が告白して振られた後の状態みたいだ。。。。

しかし、今回はサオリから話しかけてくれた。


「そう言えばさ、アンタの部屋でさ」


「うん? 俺の部屋で?」


「その、エッチな本見つけたんだけど。やっぱああいうのが好きなの?」


「え、、、なんのことかな?」


「おっぱいの大きいギャルが表紙だった」


 見つかってたのか! ベッドの下に入れてた筈なのに。。。

やっぱコイツはオカンなのかもしれない。息子のエロ本を見つける。オカン。


「いや、、、それは友達から借りたんだよ。。。俺のじゃない」


「高校入ってから友達いないくせに。それに中学の時もそんなにいなかったじゃない」


「お、、、親父のだったかなぁ? こんなの読むんだぁ。て」


「いや、そっちの方がショックなんだけど。今度、いっくんのお父さんに会った時にアタシは、どんな顔したらいいか分かんないよ」


「………忘れていただけると助かります」


「無理」


「そこをなんとか」


「ヤダ」


・・・・・・・・


「………あれは、、、俺のだよ」


「ふーん。それで?」


「なにがそれで?」


「好きなの?」


「嫌いじゃない」


 一体何が聞きたいんだ。。。

そう、思ってると。


「それじゃ、アタシがああ言う、ギャルっぽくなった方が好き?」


 そう言われたので、隣にいるサオリの顔を見る。


 改めて、顔をよく見る。

コンタクトにしたおかげか、それとも化粧のおかげか

目がパッチりとしていて、昔と比べて気が強そうに見えるが

サオリは、ギャルっぽいより雰囲気よりは可愛い系の方が似合う気がする。


「いや、今の方がいいよ」


「あっそ。思ったよりも贅沢なんだね。いっくんは」


「何が贅沢なんだよ」


「なんでもないよ。アタシが分かってればいい」


 恥ずかしくて言えないけれど。

ギャルっぽい格好は、俺だけに見せて欲しいとは思ってるよ。


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 その後はまたお互いに黙ってしまったが、

さっきとは違いなんとなく心地の良い沈黙だった。


 しかしもうサオリの家が近くなってきている。

この時間ももう終わりだ。


 名残おしいが、仕方がない。


「それじゃ、また明日」


「うん」


 なんとなく、その場を離れられないで言るとサオリから声を掛けられた。


「ねぇ。匂い嗅いでいい?」


「……おう」


 そう言ったら、サオリが朝の様に近づいて来たので腕をあげる。


 クンクン、クンカクンカ、、、クンクン


「んー。やっぱりちょっと臭う。でもこれくらいなら……」


「さっき、ドラッグストアで良さそうなの買ったからもっと減ると思うぞ?」


「え? そうなの。それじゃもうちょっと嗅いでていい?」


 クンクン、クンカクンカ、、、クンクン、クンクン、クンカクンカ、、、クンクン


 あの? 長くない? そう思って肩を押して離そうすると。。

サオリの方がもっと近づいてきた。もう密着しているよこれ! なんで???


「うん。満足した。明日も確認させなさい」


「なぁ、もしかして………」(匂いフェチとか言うやつ?)


「これくらいならね。前はだめ。普通に臭い」


 おおう。そうか。。。


「明日、朝いっくんのうち行くからね。早く寝なさいよ」


「おう」


つづく

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あとがき


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