苦いキス

璃々花

苦いキス

ユリカ、24歳。


私はどうにでもなってしまえと思っていた。


「性格がいまいち合わない」なんて言われて、恋人に振られ、女性として綺麗になって、見返してやるという気持ちで、男性と遊びたいと思った。



その方法がマッチングアプリ。


結婚とか恋人探しとか、そういう『マッチング』は求めてなかった。


私は怖いもの知らずなのか、、、

「男性と遊べればいい」

その一心だ。


マッチングアプリは女性は基本的に無料。

男性は課金やら何かと必要のようだ。


きっと、男性の中でも、遊び目的の人も居るだろう。探してみよう。


その中で気になったのが『テツヤ』さん。

2つ歳上でエンジニアをしている。


マッチングアプリ内でもメッセージのやり取りは淡々と続き、簡単にLINEに移行した。


「今度、カフェでも行かない?」


テツヤさんからのお誘い。


私は断る理由はなかった。メッセージのやり取りからして、ぶっちゃけ馬鹿ではなさそうだ。常識はありそう。 私が言うのもなんだけど。


デート、と言っていいものなのか不明だが、、、デートの日になり、私も女性らしい服装で迎えた。一応、初めましてのわけで、第一印象は大事だ。男性と遊ぶだなんて、そういうことはちゃんとしないと。


あ、そうだ、

こないだ新しく買った下着でも着けていこう。



会う約束をした場所へ向かった。

テツヤさんは家まで迎えに行くよと言ってくれたが、私は一回限りの関係だと思い、家はバレたくなかった。


SUVの車が停まっている。


テツヤさんからLINE。


「車見えてる?来てもらってもいい?」


私は予め、車の雰囲気は聞いていた。きっとあの車がテツヤさんだろう。

小走りで向かった。


「走らなくてもいいのに、ユリカちゃん。はじめまして、テツヤです」


彼は運転席から降りてきて、話しかけてきた。


「あ、はじめまして。わざわざ車出していただいてありがとうございます」


「緊張してる?まじ、大丈夫だから、楽しく行こうよー!」


テツヤさんは元気な人だ。


彼が気になっているというカフェへ早速向かう。車内ではポップアップな音楽が流れていて、私の趣味とは合わない感じだ。


「せっかく出会ったんだし、色々お話しようぜ。ユリカちゃんはいつまで彼氏いたの?」


「あー、つい先月ぐらいかな?振られたんですけどね。勢いでマッチングアプリを始めました」


「突然さ、可愛い女の子出てきて、まじか!?って思って、すぐユリカちゃんのこと『いいね!』しちゃったよね~~」


「そんな冗談要らないですよ!!」


「まじだって!会いてぇなー、って思ったもん」


「それなら嬉しい」



目的地のカフェに着いた。パンケーキが有名らしい。


『いらっしゃいませー!只今満席なんですが、二人掛けのシートならあります。いかがですか?』


「全然大丈夫っす」


私に相談せずに決めたテツヤさん。


席に向かうと横に2人で座る、カップルシート的な所だった。


「なに食べるー?」


「有名なパンケーキですかね!」


カフェではお互いに好きなパンケーキを食べた。食べるのに夢中なのか、テツヤさんはほぼ無言で食べていた。


食べ終わり、会計に行こうとしたとき

伝票を忘れたまま、テツヤさんはレジへと向かった。私は自分の分の1000円とともに伝票を渡した。


「おう、ありがとう」


、、、ここは「おごるよ!」じゃないんかい!と心の中で突っ込みながら、、、でも

1日の関係だし、と思い、すぐに冷めた。


「ちょっとドライブでもして、うちでゆっくりする?でも、結構暗くなってきたよね、ユリカちゃんを暗くなる前に早く帰さないと。危ないからね。うちでコーヒーでも飲もうか」


「ありがとうございます」


早速、テツヤさんの家かー。どんな家だろ。


「着いたよ」


と言われたのは住宅街の中の一軒家。


「一軒家なんよ、うち。住んでるのは俺だけ、あはは、寂しい男やろ」


驚きながらもテツヤさんの家へお邪魔した。綺麗に片付けられた部屋で広いリビング。ベッドにもなれそうな大きなソファー。


「ソファーに座ってて。ゆっくりしてていいよ」


緊張が一気に途切れたのか、私はすごい疲労感に襲われ、うとうとしてしまった。


テツヤさんがコーヒーを持ってきた時には寝ていたのかもしれない。


どのくらい寝たのだろう、、、



私はキスで起こされた。


びっくりして起きると、


「おはよう、ちょっと疲れてたかな?はじめましてだったもんねー。ゆっくりしていいよ。おいで、膝枕」


「いやいやいや!起きました」


そういって私は起き上がり座った。


「コーヒー飲まなくていい?」


「あ、飲みます、いただきます」


ホットコーヒーを淹れてくれただろうに、冷めきっていた。


「また、新しいの持ってこようか」


「いや、大丈夫です」


「そっか」


苦味の強いブラックコーヒーを飲んで、ふーっとしている休んでいると、


「じゃあ、いいね」


何かと合図のようだった。



ベッドになりそうな大きいソファーの上に押し倒されて、激しいキスをされる。


「コーヒーの苦い味がする」


テツヤさんはゆっくりと私のブラウスを脱がす。下着だけになった私を見て


「可愛い下着。ユリカちゃんに似合ってる」


褒められたら伸びる子です、私、、、すごく嬉しかった。


ブラジャーの上から乳房を触り、私は少しずつ感じ始めてきて、『ああ、ブラジャー越しじゃなくてそのまま触って欲しい』と思ってしまった。


そして、テツヤさんはスルスルとスカートも脱がして、言った。


「寝室に行こうか。2階にあるから」


テツヤさんに手を繋がれて、私は下着姿のまま、2人で階段を昇る。広い寝室に、セミダブルのベッド。薄暗い明かりの中で、テツヤさんと目が合った。


彼は私をベッドへと誘導し


「俺も脱いでいい?」


私の返答を聞くことなく、シャツを脱いだ。


彼の上半身はタトゥーでいっぱいだった。


「引いてない?」


「いえ、引いてないです。でも、初めて見たので、、、触ってもいいですか?」


「ふふ、そっか。うん、いいよ」


「痛くないですか?」


「痛くないよ、、、ユリカちゃんの手、冷たくて、なんかそそられるんだけど、、、」


と言って私のブラジャーのホックを外し、露になった乳房を触り、敏感な乳首を舐める、激しく。私ら喘ぎ声を出してしまう。


「ああ、、、んんん、、、」


「ユリカちゃん」


私の名前を呼んで、ショーツも脱がし、私の下の方へ移動し、舐め始める。


「ああ、、、やめてください」


「身体はやめてって言ってないよ?」


「んんん、、テツヤさん意地悪ですね」


「ふふふ、こんなに濡れちゃって」


「テツヤさんを欲しがってるのかも」


「ユリカちゃん、そんなこと言っていいの?ひひ」


私はテツヤさんの腕を掴んで、ベッドへ押し倒し、騎乗位になった。


「ユリカちゃん、やばい、、、」


私はテツヤさんにキスをしながら、彼のジーンズのベルトを外した。上半身を舐めて、徐々に下の方へいき、ジーンズとボクサーパンツを脱がした。私は少し驚いてしまったが、陰毛は脱毛された状態だった。


「ユリカちゃん、また驚いてる?ない方がよくて、脱毛したんだよね」


「そう」


私は素っ気ない返事をして、フェラをした。


「ああああ、やばいって」


彼の言葉は無視して、続け、自分も興奮していた。


「ユリカちゃん」


「はい?」


テツヤさんは私を軽々と体位を変え、正常位になった。すぐにゴムを装着し、私の中にテツヤさんのものが入ってくる。


「「あああ、、、」」


二人、喘ぎ声を出し、私は彼の背中に爪を立てて感じていた。テツヤさんはゆっくりと腰を動かした。


「ユリカちゃんの中、気持ちよすぎ」


「私も、気持ちいいです」


徐々に動きが早くなり、私たちは声をあげ、絶頂へと向かおうとしていた。


「ううう、、、んんんん、、、、、ごめん、出しちゃった」


「お疲れ様です、ありがとうございます」


「、、、、律儀にありがと、ふふふ」



私たちは少し時間が経ってから、下着と服を着た。



「そろそろ帰ります」


「うん、送るよ」


「大丈夫です、バス停がそこにあるので」


「そっか、またね」




それを最後にメッセージもなく、会うことももちろんないまま、時が過ぎた。



あの苦いキスから始まった、激しいセックス。


私は忘れることはないだろう。







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