第126話
「あ、ダーリン発見♪」
朝方、眠気覚ましのため、製紙工場の敷地内を散歩していると、まだ成長途中で低い
白藤の髪を木漏れ日でまだらな銀色に染め、こちらが歩み寄るのを待っていた彼女は微笑み、斥候向けの指ぬきグローブに包まれた
それを右掌で包み、引き寄せて地面へ降ろすと、嬉しそうに
「ありがと、これあげる」
季節柄、綺麗な赤に色付いた葉を一枚、繋がれてない方の手で胸ポケットへ差し入れたかと思えば、くるりと半弧を描くような身のこなしで隣へ並び、こちらの左腕に自身の右腕を
振りほどく理由もないので好きにさせて、秋服越しに伝わる人肌の暖かさを感じながら、真新しい工場の
「もう少しで一周だけどさ… これだけの土地、よく王都に用意できたね」
「将来的に国内の紙幣印刷を一手に引き受けることもあって、施設の増築を
当然の
余計な恨みを買ってないこと、
「家だとウルリカいるし、大っぴらにいちゃつくのも
「見掛けの年齢は変わらなくても、中身は相応に成長してるんだな」
「むぅ、当然じゃない、幼馴染の中では一番早く生まれたお姉さんだよ?」
そう言えば、誕生月を迎えるのは同い年のクレアやフィアよりも、少し早かったなと思いつつ、彼女の背に手を
ふわりと
優れた嗅覚で風に紛れる匂いを
「ご主人、あたしも……」
「ふふっ、見つかっちゃったね」
くすりと笑った
さりとて被害は少なく、朝食を
「つまり、ジェオ君とリィナが抱き合ってたから、貴女も?」
「ん…
どや顔で答えられた司祭の娘はぎぎっと、潤滑油の切れたような動きで首を
「
「えぇ、私だけ
“皆の朝ごはん、美味しく作ってたのに…” と
その一方で何故か “賢者の時間” が訪れて、まだ朝方なのに何やってるんだと思い
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