第106話 ~ とある冒険者の溜まり場にて② ~
華奢ながらも引締まった身体つきで猛禽を思わせる斥候の娘と、物騒な長物を抱えた司祭の娘は入口脇の円卓に陣取り、近くにいた女給の一人を呼んだ。
「取り敢えず、お勧めの香草茶と焼き菓子を♪」
「この学院、料理研究者の教授もいるらしいので期待が持てます」
「あはは… その人、栄養価に
ざっくりと前置きした女給は木版に
その内容を厨房へ伝えるにあたり、
「貴重な回復役、別に増えても困らないよな」
「後衛にでもと考えたのでしょうが、あれは地母神派が誇る “槍の乙女” です。彼女は添い遂げる自身の英雄を決めていますので、こちらに
“私がそうであるように” と補足して、同じく戦う司祭である聖堂騎士が剣を捧げた主君に
金等級及び、銀等級上位の
そんな彼らの様子を密かに眺めて、どうせダーリンの奢りだからと
「あっちの円卓にいる優男さ、多分だけど第一王子だよ」
「ん、何となく分かってました」
小声で応じた司祭の娘が
(ジェオ君の不利益に
定番の卵・牛乳・蜂蜜の他、煮潰した栗も使っている茶系のカスタードをパイ生地で挟み、ほどよく焼き上げたケーキはなるほど、女給の言葉通りに美味しそうだ。
「うぐっ、それを頼めば良かったかも」
「んふふ、いつも無駄に自重するよね、フィアは」
幼少期から
先日、衣類を新調させて支払った経緯もあり、今月は節約すると誓った某領主の嫡男に支払い拒否されてしまい、自腹での会計になったことも食堂に
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