第64話 ~ とある倉庫にて② ~
「発病者は
「今回の “
手洗いうがい、お湯に衣類や食器を浸ける過熱消毒と
「ありがたく、頂いておこう。しかし……」
「色々と奇抜ですね、消毒の方法とか」
「簡単に考えてください、人は全身に熱湯を浴びると死にますよね? 伝染病の原因となる微生物も息絶えますし、
「生肉や魚を焼いて食べる習慣も、同じ効果に起因すると
さらりと補足した商人は小動物から人、人から人に病原体を運ぶ吸血性の
「否定の材料が見つからず、あからさまな
「いえ、うちの
「まったく
ここ数年、黒髪緋眼の少年は製紙と近郊農業の分野で成果を上げており、表立って文句を言う者がいなくとも、余人には理解できない
深く
「貴都市の評議会より提案を受け、グラシア王が文官に用意させた合意書です」
そう前置きして交渉のテーブルに乗せられた文書は
神の名を出した宣誓による裏付けを冒頭に書き、約束の
都市イルファは直轄地ごとヴェネタ共和国からの独立を宣言すること、双方の自衛権に
法的な差の解消に向けた努力を怠らないこと、自治領としてグラシア王国への復帰を検討することなど、多面的な項目がずらりと並んでいた。
「背に腹は代えられないが、帰属を確約するのも難しいぞ。独立宣言は伝染病対策で封鎖を選んだ総督府に邪魔されず、我らが他国の支援を得るための施策だからな」
「ご
薄く微笑んだ
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キリスト圏でもイスラム圏でも、中世の条約文書などは神への宣誓から始まります。それを破ると宗教勢力を敵に回すことになり、統治の正当性や民の信頼を失うため、結果的に約束は守られるという次第です。
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表紙ページ( https://kakuyomu.jp/works/16816927860966363161 )
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