第12話 ~ とある少女の視点② ~
「そんな
「うぐっ、助けられた身ではあるけどさ、言い方ってものがあるだろう」
明け透けな忠告に思わずクレアが抗議を試みるも、黒髪の少年は
それから一呼吸分だけ間を置き、冒険者登録の際に覚悟を確認するため、誰もが一度は連れて行かれるギルド支部の地下室に言及してきた。
薄暗い明りの中、運良く回収された “死者の
「自分だけは大丈夫、と思い込むのが人の常、俺も他人事ではないが… 引き返せる内に止めておけ、残された家族が悲しむ事になる」
「… と言われてもね、フィア」
「えぇ、私達は女子修道院の孤児、
困り顔で肩を
飢饉の
成人と
港湾都市での力仕事は女手だと難しいことや、親無しへの偏見もあって職が定まらず、路頭に迷う者が大半を占めてしまう。
「私は治癒魔法の資質があったので、教会の侍祭に取り立てられましたけど、持たざる
「それが嫌なら、来るもの拒まずの冒険者ってこと」
「いざとなればギルドの仲介で部屋も借りられるし、衣食住には困らない」
過分な危険がある反面、弱い立場のまま戒律の厳しい修道院でこき使われたり、望まぬ人生を
「
「ん… 分かってくれたのなら、それでいい」
「こっちが未熟なのも事実だから… って、やけに素直ね」
何かと悪評を聞く領主夫妻の子と思えないほど、潔い印象を持つ少年にリィナが再び疑惑の視線を向けたところで、事後の始末を終えた
突き出された掌には、土蜘蛛の変異種から抽出したと思われる大振りなマナ結晶体や、喰い殺された暴漢達の
「くれてやって構わないだろう、ジェオ?」
「………… 装備品や治療薬を買う足しにはなるか」
やや未練がましい様子の少年は呟いて首肯するが、中級以上に相当する魔物の結晶体は資源価値が高く、そう簡単には受け取れない。
死者の
「ふふっ、お
斥候の幼馴染が見せた現金な姿にクレアと顔を見合わせ、思わず溜息を吐きながらも苦笑する。
今日は後を付けてきた悪質な冒険者に絡まれ、散々だったけれども禍福は
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