過ぎ去りし日々

バブみ道日丿宮組

お題:燃えるパソコン 制限時間:15分

過ぎ去りし日々

 くるくるくるくるくるくる。

 パソコンの上の歯車が回る。これが止まったときがパソコンが壊れたときという。

 それはどうかなって思う。

 やすそうな作り方だ。数年も持たないというか、明日にも止まっていそう。

 確かにパソコンがいつ壊れるかなんてことは専門家であってもわからない。それは人間でもそう。昨日まで動いてた身体が急に止まってるなんてこともある。

 両親がまさにそうだった。

 学校にいけと起こされないなとベッドで横になって、お昼。

 さすがに気になって起きて、台所にいけば、二人は床に倒れてた。揺さぶっても起きないし、息もしてる様子もなかった。

 すぐに救急車を呼んだ。

 病院につくと、死んでることが伝えられた。死後5時間が経過してるとのことだった。それからは、親戚たちがきて、お葬式の手配なんかをしてもらえた。

 すべてが終わると、家には私と遺産だけが残された。

 そのお金でカワウソちゃんを買ったり、パソコンを買ったり、自動餌やりきを買ったり、いろいろ使った。それでも100分の1くらい。

「お腹へった?」

 きゅーきゅーと声を漏らしながら、カワウソちゃんが部屋に入ってきた。

 自動餌やりきでやればいいじゃないかっていうけれど、あれはでかけたとき用で普段は使わない。唯一自動で出てくることといえば、水か。

 ウォーターマシンは、私も使ってる。改造して、カワウソちゃんが下でタッチしたら、お皿に入るようにしてある。

「いこっか」

 パソコンの電源を切り、部屋を出る。

 両親が死んでから、学校には行ってない。高校受験には成功したけれど、行く気にはならなかった。買った制服はそのまま箱の中に入ってる。革靴も新品。かばんも新品。

 これから使うこともないと思う。

 昔の同級生たちがプリントやら課題やらを持ってきてくれるが、やはり行く気にはなれない。

「ほら、ご飯だよ」

 キャットフードをお皿にもり、床に置いた。

 待ってましたと言わんばかりにかぶりつくカワウソちゃん。そろそろカワウソちゃんじゃなくて、名前をつけてあげるべきかもしれない。あとは嫁さんを買ってあげるとか。

「……」

 撫でる。

 餌に集中したいけれど、嬉しそうに鳴いた。

 そこで何か焦げ臭い感じを得た。

「……?」

 私の部屋?

 戻ると、歯車が燃えてた。これって火事になる? 歯車に手をのばすと当然ながら、熱かった。

 でも、躊躇はしてられない。

 燃えてる歯車を持つと、そのまま台所へ行き、流し場に入れ蛇口をひねった。

 火はすぐに消えた。

 安心して、部屋に戻ると、壁が焦げてた。

 もう少し遅ければ、火事になってたかもしれない。

 おじさんたちにはこれ以上迷惑はかけられない。

 カワウソちゃんの元へ戻ると、火事の原因を考え始めた。

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過ぎ去りし日々 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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