にゃん転りん

@lotus_novels

プロローグ

「ん〜!今日も冷えるね!のり!」

頃は2月。宮城だとこの時期が1番冷えるのだ。だが少女は寒がりではない。むしろ寒がりなのはこっちの「のり」さんの方だ。

「にゃ…」

「のり!クスッ、鼻水凍ってるじゃないっ」

平気で鼻水までも凍る寒さなのにもかかわらずこの少女、小網 岬は薄手のスウェット1枚で朝を迎える。暖房器具をつければいのだが、生憎彼女の家にそんなものはない。

あるのは幼い頃に使っていた敷布団と毛布1枚のみ。彼女は7歳のとき、雪崩事故で不運にも両親を失った。残されたのは両親の保険金と小さな一軒家と、この「のり」という猫1匹。

今日も彼女のいつもと代わり映えしないごく普通の一日が始まる。

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