竜騎士たちの物語 〜第一章 創生の竜騎士〜

夏乃夜風

序文 探究者たちへ

この書を手に取るものは誰なのか、今の私には分からない。

分かっているのは、変革後の世界に生きるものだろう。

世界の根源を探る探究者たちの力になれる様に。

願わくは、世界を愛して欲しい。

先人たちがどの様にして世界を築き上げたのか、その想いをここへ記していきましょう。



さて、何から語りましょうか。

世界の創造?

世界のことわり?

帝国の興亡?

これらに関しては、多くの伝承や記録がある。

今更私が記す事もないだろう。


私が記しておきたい事は、世界に変革をもたらした重要な存在。

今は、伝説の中にいる竜騎士たちの物語。

彼らは、どの様にして生まれたのか。

英雄譚や伝説は数多くあるが、何処から来て何処へ行ったのか。

時の狭間に埋もれてしまい、伝えてられていない事は多いのだ。

 

竜騎士たちは、今でこそ英雄と持て囃されるが、

決して聖人君子ではなかった。

時に怒り。

時に嘆き。

時に悲しみ。

悩み。笑い。喜んだ。

彼ら、彼女らは、竜騎士である前に生身の人であった。


時代の流れに翻弄され、非業の死を遂げたもの。

その膨大な力に溺れ、欲望のままに堕ちたもの。

絶望と怒りに駆られ、世界を滅ぼそうとしたもの。

力を失いながらも仲間とともに、世界を変えたもの。

多くの竜と竜騎士が、世界とともに生き、そして死んでいった。


多くの者達が、疑問に思っている事を。

私は、ここに記そうと思う。

竜騎士達の想いを。

そして、竜騎士たちの物語を。

そう、思い出とともに……。


私は、名もなき年代家。

世界を見つめるもの。

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