第184話 宗像と面会
宗像神社に隆元らが到着したのは、夕方であった。
「ご免!」
「いかがなされましたか?」
僧侶の一人が隆元に話しかける。
「宗像様にお目通しを願いたく参りました。文にて面談の許可をいただいております」
「では、確認してまいりましょう。少々お待ちを」
そう言って、僧侶の一人は走り出した。
隆元は、少し不安になりながらも僧侶を待つ。
「本当に会ってくださるだろうか……?」
「殿、落ち着いてください」
兵の一人が声をかける。
「大変お待たせいたしました。毛利殿、こちらへ」
僧侶が穏やかに案内をする。
「ありがとうございまする」
隆元は丁寧に頭を下げた。
「礼には及びませぬ。当然のことでございますから」
僧侶は笑って答えた。
「失礼いたします、大宮司様。お客人をお連れいたしました」
「うむ、大義であった。お勤めに戻ってよろしい」
「はっ、失礼いたします。毛利殿、ごゆるりと」
「はい、ありがとうございます」
僧侶は会釈して仕事に戻っていく。
「初にお目にかかります、毛利隆元と申します」
「私は宗像氏貞と申します、ご丁寧な挨拶及び、丁寧な手紙をありがとうございます」
「恐れ多く存じます」
隆元は恐縮して言った。
「いえ、あなた様の教養あるお手紙、拝読して気持ちが良く思いました。して、私たちに頼みたいことがある、と」
「はい。恐れ多く思いますが、これも日ノ本の和平の為なれば、と思いまして」
隆元は氏貞の時間が許す限り、話をした。
「なるほど、あなた様は家族を大変大事にしておられるのですな」
「ええ、もちろんでございます」
「して、話の本題というのは……、我らに同盟を組むよう願いたい、と?」
隆元はどきりとした。
だが、ここで誤魔化してはいけない、と気持ちを切り替える。
「恐れながら、そう言う意味でございます。我ら毛利家は、九州のことなどは全く理解もございません。詳しい方が味方にいれば、どれだけ心強いことでしょうか……」
「左様にございましたか。本来、戦となれば私どもも断っていた事でしょう。しかし、私はどういうわけか、あなた様を気に入ってしまいました。微力ながら、協力いたしましょう」
宗像は穏やかに、かつ明るい声で答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます