自分の信念

ももかっぱん

自分の信念

 周りの人たちはみんな口を揃えてこう言う。

「いじめは見ている側もいじめているのと同じ。」と言うけれど本当にそうだろうか。

 私が通っていた小学校は田舎にあり全校生徒100人未満のとても小さな学校だった。

小学3年生の頃からそのいじめは始まった。

最初は「汚い」だの「キモい」だの友達同士の悪ふざけのようなものだった。

私もよく男子に混ざって女の子を茶化したりしていたし男子グループに属していた私にとっては少し羨ましく思えるくらいに楽しそうに見えた。

小学4年生に上がる頃から少しずつエスカレートしていった。

ある一人をターゲットにし最終的にはみんなで無視するまでになっていた。

もともと話すことはあまりないし、私とは全然違う世界にいるような子だった。

頭が良くて、美人で、どこが悪いのか私にはわからなかった。

徐々に男子や女子、学年関係なくその子への嫌がらせが増えた。傘に消すカスを大量に入れたり、机にはたくさんの悪口を書いたり、全校の前で悪口をたくさん言う、バイキンのように扱い物投げたりなど、どんどん、どんどんエスカレートしていた。

 ある日のことだ。道徳の授業で「人権について」というものだった。学んだあと、私は「いじめられている人がいるんです!」と言った。

数秒の沈黙の後先生がとても曇った怖い顔をして「デタラメを言うな!」と強く怒られ周りからも笑われた。

私は頑張っていじめから助けたつもりだった。

でもいじめられていた人から「余計なことをしないでほしい」と言われた。

そこから私はクラスメイトと険悪なムードになってしまった。

そして標的は私へと変わっていった。

いじめられていた人もまるで別人のように変わっていった。

本当の優しさとはどういうものなのかという疑問がわいた。

勇気を出してしたこともこんなことになるなら何もしなければよかったと思うし、友達でいることは難しいものだと感じた。

そして私は人と関わることが嫌いになり閉鎖的な性格へと変わってしまい、いじめられていた人はたくさんの人を傷つける人へと変わってしまった。

また、自分と同じ考えを持つ人ばかりではないことに気づいた。

 確かにいじめは良くないものだとは今でも思うし、いじめを見たらそのいじめを止めたい。

もし自分がいじめられていて助けてもらった時は心の底から感謝する。

しかし、いじめに直面したときどんな行動をとるかはその人の生き方だと思う。

 本当の優しい心とはどういうものなのかと考えた。

他人に関心を持たない。そういうことなのだろうか。

世界を良くしようと思っても何も変わっていない。

人権について考えたところでその人の考え方価値観を変えることはそう簡単なものではない。

大人の社会でも起こっていることなのに、私達子供がそう簡単に変えられるものなのかと疑問がある。

テレビを見ていて殺人、テロ、差別を見て不自由のない今の生活に良かったなと感じるのであれば、見てみぬふりは加害者と私達に言えるのかなと思った。

世の中すべての差別をどうにかすべきだではないだろうか。その問題も見てみぬふりになっていると思う。

一人ひとりに直すつもりがなく、本当の優しさがないならいじめは無くならない。

 時々、個性は良いものではなく、逆にいじめにつながっているのではないかと思う時がある。自分が正しいと思っているに対して「個性的」「変わっている」と言われることは、良い言葉に聞こえない時がある。

こんな世の中を作ったのは私達人間で、これから変えていこうといっても難しいかもしれない。

世界にはたくさんの人が生きていて、どのくらいの人が人生を楽しいと言えるだろうか。ほとんどの人が本当の自分を隠して生きてはいないだろうか。

これが本当の平和と言えるだろうか。戦いが起きないだけが決して平和とは限らないと思う。私達はもっと行動や発言に責任を持たないといけない。

自分の行動や発言に責任を持たないといけない。

 自分の意見を話すことは生きていいるということ。

 思いを伝えることは大きな力になるということ。

一人ひとりの考えを認める優しさが必要だ。

世界は限られているからこそ、色々な考えがあって最高なんだと思う。

そして同じ考えを持つこともとってもとっても最高なんだ!

 いじめられている人を助けることは当然必要なことだ。

しかし、いじめを助ける方法は一つだけとは限らない。

だって世の中には色々な人がいるのだから。

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