第8話
土曜日のお昼と言えば、学生はゴロゴロしたり真面目な子だったら勉強を怠らず机に向かうと言うのが一般的だろう。
そんな僕の土曜日のお昼は、筋トレを3時間はするということ。早速始めようとタイマーを3時間に設定して、スタートボタンを押し腹筋をする為に横たわった瞬間、僕の部屋の扉が開き梨々花ちゃんが飛んできた。
「り、梨々花ちゃん?!」
「あ、あれ。なんでお兄ちゃん上半身裸なの?」
「え、えと。筋トレするから、汗とかで蒸れるのが嫌で」
「ふーん。じゃ、手伝ってあげる!」
「い、いいの?」
「うん!」
梨々花ちゃんが手伝ってくれるということで、僕は嬉しくなり、足を固定して欲しいとお願いすると、嬉しそうに梨々花ちゃんは僕の足に乗っかる。全然固定されないほどに軽い体重の梨々花ちゃん。相当痩せているんだなと思っていると、梨々花ちゃんは僕の顔に近づき言った。
「お兄ちゃんやらないの?」
「あ、やるやる」
せっかく抑えてくれているのだから、いつもよりハイペースで飛ばして腹筋をしようと身体を起こしていると梨々花ちゃんは僕のスピードについていけてないのか足の固定が外れそうになっていた。
「あ、ごめんごめん!」
「ううん。ちゃんと抑えるから!」
「うん。ありがとう」
梨々花ちゃんが怪我しては困る。僕は先程よりもペースを抑えて腹筋をしていると、次は僕の部屋に茉莉姉さんが入ってくる。すると、梨々花ちゃんが僕の足に乗っていることに対してビックリしたのか、それとも怒っているのか分からないが声を上げた。
「んー!!」
「なに。お姉ちゃん」
「ずるい!」
どうやらずるかったらしい。僕は茉莉姉さんにもお手伝いをしてもらおうと思ったが、足の固定以外にお手伝いなど無いし、梨々花ちゃんで充分だと思い、茉莉姉さんの目を見て言った。
「梨々花ちゃんがお手伝いしてくれてますし、茉莉姉さんは自分の勉強とか」
そう言った途端だった。茉莉姉さんは目をうるうるさせながら、僕を見つめ言った。
「ごめんね。龍介くんに頼まれたら何でもするって決めてたけど、要らないみたい。ほんとにごめんね。龍介くん」
「え、いやいや!」
「わ、私自室に行くね。困ったら何でも相談してね、龍介くんのためなら動くから」
「あ、はい!」
「いいお返事ありがと」
茉莉姉さんはそう言うと部屋から出て行ったが、出て行った途端ドアの裏で大きな物音がする。
「姉さん?!」
「だ、大丈夫。ちょっと転んだだけー」
茉莉姉さんは弱々しい声で言った。心配になり見に行こうと、梨々花ちゃんに避けるように言うと、梨々花ちゃんは僕の足を固定したまま言った。
「お姉ちゃんいつもこうなんだ。好きな男とか出ると尽くしたくなるみたい。だから重たいって振られるんだよねー。あ、あとさっきの転んだってやつ嘘だと思うよ」
「え?」
「アレ多分わざと転んだように見せかけて物音をたてて心配して欲しいんだと思う」
「そ、そうなんだ」
「さ。続きやろ」
梨々花ちゃんに言われるがままに僕は筋トレを続けた。
3時間もの間2人きりになれたおかげなのか、梨々花ちゃんとの距離も縮まったように感じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます