とれたての夢をあなたに

サムライ・ビジョン

第1話 2022/02/20 「激重」修学旅行

修学旅行でハブられる夢を見た。


夢の中の私たちは、黒いヴォクシーで代わりばんこに運転して目的地に向かった。

運転を代わるために駐車場に停めようとしたが、本来アンテナがついているであろう場所にブレーキペダルが現れて、空を飛んで踏みにいったが間に合わず、駐車場が周りの土地より1メートルほど高かったため後輪がガタッと落ちてしまった。


心配して中を覗くと、4人の同乗者が1箇所に固まり、ギャグ漫画のように絡み合っていた。

(4人+大型乗用車だけど構わず)後ろから1人で持ち上げたところ、サイドブレーキを踏んでいなかったため、他の車に何台もぶつけてしまった。

その結果、みんなは怒って車を走らせて行ってしまった。


LINEをしてみると、「今日は悪※¥& 凶彩?×近くのホテルに泊まりなさい」との答えが返ってきた。「凶彩」という二字熟語だけはいまだに覚えている。その場所はお寺か何かがそびえ立つ庭園のような場所なのだと思う。その近くのホテルを自分で予約しろ、と。


その「凶彩」という場所はなんとなく長野県にあるのだと思っており、かなり遠くまで車で走ってきたはずだが、そのあたりでいきなり場面が自分の部屋に切り替わった。


だけど夢というのは不思議なもので、どんなに突飛な展開でも受け入れてしまう。

自分が自宅の寝室にいるということは、それほどみんなを怒らせたのだと思った。


しかし私は、目的地はなんとなく分かっていても、どんなルートをたどり、みんなはどんな宿に泊まってどんなスケジュールなのか、まったく把握していなかった。

泣きそうになりながら修学旅行のしおりを探した。すると、勉強机の引き出しの中からお菓子や手紙などがたくさん入っていることに気づいた。




「ああ…あの4人からはハブられたけど、私にはちゃんと友達がいたんだった…」




私は孤独ではない。少しずつ湧き起こったこの考えを確信に変える出来事が、次の瞬間に起こった。




masa: 今日子ちゃんが部屋においでって言ってたよ。いろいろあったんでしょ?


masaを名乗る同級生が、今日子の泊まる部屋に来るといい、と、LINEを送ってきたのだ。

今日子という女の子のことは全然知らないが、私にはmasaと今日子がいる…

味方がいる。




そう思った私は泣き顔から一転、くつくつと笑い始めた。

今の私に怖いものはない。どんな逆境でも笑い飛ばしてやる。




私は、狂ったように笑った。

…いや、笑ったように狂った。

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