時給100円で何でもやります!! スタントマン、魔王、宇宙の皇帝まで何でもござれ? 世界一の便利屋さん!!

ピラフドリア

第1話 『便利屋さん』

時給100円で何でもやります!! スタントマン、魔王、宇宙の皇帝まで何でもござれ? 世界一の便利屋さん!!



著者:ピラフドリア




第1話

『便利屋さん』




 ここは次元の狭間。どの空間でもあり、どの時間でもない不思議な空間だ。




 そんな空間に一軒の店があった。何もないはずの空間に木造の古屋がポツンと浮いている。




 そこには「なんでもござれ」と書かれた看板が置いてあり、そんな空間をふわふわと浮いていた。




 中にはいくつか扉があり、それはどんな世界にも行くことができる便利な扉がある。

 今日もその扉が開かれた。




「いらっしゃいませー」




 店員の俺は適当に挨拶する。俺はここでの唯一の従業員であり、店主のアマミヤだ。




 そして扉が開かれて入ってきたのは、トカゲの顔に鎧を着たリザードマンだった。

 リザードマンは焦っているようで、口をパクパクして喋っているが声が出ていない。




 俺はリザードマンにコップ一杯の水を出し、落ち着かせてから依頼を聞いた。




「それでどういったご依頼ですか?」




「ち、チラシを見ました。あれは本当ですか?」




 俺は各世界にチラシをばら撒いている。内容はこの小説のタイトルの一部だ。




 俺が頷くと、リザードマンは頼み込む。




「魔王様が逃げ出したんだ。もう勇者がそこまできてるってのに!!」




 リザードマンが来た世界は西洋ファンタジー風の世界らしい。

 今は魔王と勇者が戦争をしていて、世界の平和を賭けた戦闘中だと言う。




 しかし、勇者が魔王城に辿り着き、それに恐れた魔王が逃げ出してしまったようだ。




「このままだと勇者に示しがつかない。せめて代理でも良い。魔王をやってくれませんか!!」




 俺は立ち上がる。




 今回の依頼は危険だ。




 勇者に討伐されている魔王。その代わりになるという依頼だ。しかし、ここで引き下がっては便利屋さんの恥晒しだ。




「了解しました。俺が魔王の代わりになりましょう!!」




 俺は店の壁に立てかけてある槍を手に取る。




 その槍は物干し竿の先っちょをとんがらせたようなダサい槍だ。俺はそんな槍を手に取った後、上に掲げる。




「パンプガンドロンピピーーーー!!」




「なにそれダサ!!」




 リザードマンがダサいとか言ったが、これは大事な掛け声だ。正直俺の最近ダサい気がしてきたが、この呪文を唱えなければ、俺の力は発揮されない。




 すると俺の姿が光る。そして日曜の朝にやっている女の子用のヒーローアニメのように変身すると、俺の姿は魔王になっていた。




「ま、魔王様…………」




 リザードマンは驚いた様子で俺のことを見る。




「さぁ、仕事を始めようか!!」





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