未来の記憶を手に入れて~婚約破棄された瞬間に未来を知った私は、受け入れて逃げ出したのだが~
キョウキョウ
第1話 婚約破棄を告げられて
「コルネリア。すまないが、君との婚約を破棄させてほしい」
「え?」
私の誕生日を祝う夜会で婚約者のヘルベルト王子が突然、婚約破棄を告げてきた。
本当なら、お祝いの言葉を告げる場面で彼が予想外なことを言ってきた。それで、唖然とする私。事前に何も聞いていないのに、なぜ突然そんなことを。事前に聞いていたとしても、ありえない話。婚約破棄なんて!
ヘルベルト王子は、見知らぬ女と一緒に居た。婚約者である私の誕生日会に、なぜ他の女を連れてきたのか。それも理解が出来ない。意味が分からないわ。
皆に誕生日を祝ってもらって、とても嬉しい気持ちだった。それなのに、婚約破棄なんて言われたので気持ちが整理できない。そもそも私の誕生日を祝う場で、そんな事を言ってくるなんて。
どうして、という疑問にあふれる。私が、何か悪いことでもしてしまったのか。
夜会には、たくさんの貴族達が参加している。そんな中での婚約破棄に、会場内がざわめく。当然、皆にも見られている。それなのに、ヘルベルト王子と見知らぬ女は堂々としていた。
「どうして?」
私は、ヘルベルト王子に問いかけた。彼の横にすまし顔で立っている、その女性が関係しているのだろうか。詳しく話を聞きたい。どうしてなの。
「俺は、彼女と結婚する」
「……その女性は、誰なの?」
「この子は、ユウコ。ハースト伯爵家の令嬢だ」
彼の横に並んで立ち、もたれかかるように密着している2人。どう見ても、2人が親しい間柄だということが分かる。どうやら私の婚約者は、別の女性に浮気していたようだ。いつの間に。
「ごめんなさい、コルネリア様。だけど、ヘルベルト王子はどうしても私が良いっておっしゃるの。だから、婚約破棄も受け入れてくれるでしょう?」
何を言っているの、この女は。そんなの許されるはずない。なんで、王子と仲良くしているのか。ヘルベルト王子の婚約相手は私なのに!
婚約破棄なんて絶対に嫌。受け入れるわけない。急に現れて、伯爵家の令嬢が何を馬鹿なことを言っているの。怒りの感情が、どんどん湧き上がってくる。
今も、大勢の貴族達に注目されている。こんな、多くの人達の目の前で!
誕生日の夜会で恥をかかされるなんて、ヘルベルト王子とユウコという女は絶対に許さない。そう思って口を開こうとした瞬間だった。
「……ッ!?」
頭が急に、割れるように痛くなった。耐えようとするが、ズキズキと痛みが続いて何も言えない。助けを求めることも出来ない。なんなの、この強烈な痛みはッ!
そして、見たこともない景色の数々が目の前に現れた。これは、一体なに?
私の見ている光景の中に、ユウコという女が居た。今の状況や痛みも忘れて、その光景をじっと見つめる。
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