第8話 激闘!アルマジロン道場

 

 クエストの案内通りに進み、北区のルイジさんへと挨拶を済ませる。

 今度は畑ではなく街の壁が突進によって壊されるらしいらしく、今回もフィールドの壁が壊される前に倒し切れというタイプのものだった。


「よーしやるよ、ヌシ様召喚!」


 <しかし魔力が足りない>


「え!?」


 魔力:50/200


 見れば魔力がゴッソリ減っていた。

 まさか召喚て一回ごとに魔力をがっつり消費するの!?

 そういえば、さっき魔力の何か秘薬的なのもらってたよね。

 よし、それを一本飲んで……


 <マールは魔力の秘薬を飲みほした!>


 <マールは魔力を9999回復させた!>


 ウソ、効果が高すぎる!

 これ、たった150ぽっち回復する飲み物じゃないじゃん!

 あーもーどうしよう。

 で、でも。これで一応召喚できるようになったんだよね!

 今度からヌシ様を頼る時は普通に魔力を回復するお薬を買う事にしよう。

 残り2本はとっておきって事で、うん。


「ヌシ様、威圧お願い!」


『ジュァアアアアアアアアッ!!!』


 |グレータースネークの威圧攻撃!

 |アルマジロンAは硬直した

 |アルマジロンBは硬直した

 |アルマジロンCは耐え切った

 |アルマジロンDは恐怖に震えている

 |アルマジロンEは硬直した

 |北の壁に50ポイントのダメージ!


 なんで!?

 あ、そうか。ヌシ様も括り的にはモンスター側なんだ。

 そして壁は衝撃にも弱いらしい。


 |アルマジロンCの攻撃!

 |北の壁に5ポイントのダメージ!


 あ、こっちはそんな大した事ないんだ。でも数で押されたらすぐに同等のダメージになっちゃう。その前になんとかしないと。


 |マールはモフウサギのお肉を差し出した。

 |アルマジロンCは見向きもしなかった。

 |アルマジロンCの攻撃!

 |北の壁に3ポイントのダメージ。


 あーー、お肉作戦が通用しない!

 やっぱり地域が違うと好みも違うか。

 こうなったら一か八かでこっちで立ち向かうしかない。


「ヌシ様、壁の前に陣取って、突っ込んでくるのを迎え撃って!」


『ジュアッ!』


 その隙に私は戦えそうな相手へと攻撃を叩き込む。


 |マールの正拳突き!

 |アルマジロンの硬い皮が物理攻撃を緩和する!

 |アルマジロンCに15ポイントのダメージ!


 う、やっぱり物理は効きにくいんだ。

 アルマジロンはダンゴムシみたいに体を丸めて突進してくる。

 逆に言えば外皮以外はそんなに硬くないって事で……


 |アルマジロンCの攻撃!

 |しかし攻撃はグレータースネークに阻まれてしまった。

 |グレータースネークの噛みつき攻撃!

 |会心の一撃!

 |アルマジロンCに150ポイントのダメージ!

 |アルマジロンCをやっつけた。


 あ、普通にそのまま食べちゃった。

 サイズ的にちょっと硬いぐらいなのかな?

 自分の非力さを嘆くよりも先に、ヌシ様の強さをこれでもかと見せつけられた。

 負けられないよね。


 そう思っていたのも束の間、結局自分で倒せたのは2匹だけで、他は全部ヌシ様のオヤツになってしまった。

 んもー、これじゃあ全然ダメだ!


 受付のお姉さんに持って行ったら一応クリア扱いにして貰ったけど、もう一度受け直してリベンジ!

 今度はヌシ様を呼ばずに私一人で迎え撃つ!


「たぁあああああああ!」


 |マールの気合の咆哮!

 |ミス、アルマジロンAに効果はなかった。

 |ミス、アルマジロンBに効果はなかった。

 |ミス、アルマジロンCに効果はなかった。

 |ミス、アルマジロンDに効果はなかった。

 |ミス、アルマジロンEに効果はなかった。


 うぅ! 本当に物理殺しで嫌になる!


 |マールの回し蹴り!

 |アルマジロンAは攻撃態勢を乱した。

 |アルマジロンBに3ポイントのダメージ!

 |アルマジロンCは攻撃態勢を乱した。

 |アルマジロンDに1ポイントのダメージ!

 |ミス、アルマジロンEにダメージを与えられない!


 よし、中身が出た。


「だらっしゃぁあああああ!」


 |マールの気合の咆哮!

 |会心の一撃!

 |アルマジロンAは動きを止めた。

 |ミス、アルマジロンBに効果はなかった。

 |アルマジロンCは怯えて震えだした。

 |ミス、アルマジロンDに効果はなかった。

 |ミス、アルマジロンEに効果はなかった。


 もう一回!

 今度は真正面を捉えて!


 |マールの正拳突き!

 |痛恨の一撃!

 |アルマジロンAに80ポイントのダメージ!

 |アルマジロンAをやっつけた!

 |マールはレベルが上がった!

 |生命が10UPした、魔力が10UPした

 |アルマジロンの硬皮を手に入れた。

 |アルマジロン柔肉を手に入れた。


 よし、通じた。

 あとは転ばせつつ壁にダメージを入らないようにすれば!


「ふぅ、時間ギリギリだけどなんとか無事に守り切れたわね」


「いやぁ、お嬢ちゃんやるね。また頼むよ」


「はい、また寄らせてもらいます」


 終了のサインを頂き、ルイジさんと分かれて再度受付のお姉さんへ。


「お疲れ様、マールさん。同じクエストを何度もやるなんて何かあったんですか?」


「少し納得のいかないことがあって。でもそれは解決しました。あ、そうそう。魔力の回復するアイテムってどこへ行けば売ってるんですか?」


 2回目の報酬1,000Gを受け取りながら聞く。

 一度目でも確かめたけど、アルマジロン素材はとにかく買い手がつかずに売値も安かった。今はまだ一撃で倒し切れるわけではないので強敵として見据え、次のクエストに向かう前に切り札の準備も揃えておかなきゃだ。


「そうねデイジーさんの魔法薬ショップで販売してるわ。ギルドを出て宿屋さんの通りを左に三軒行ったところにあるわよ」


「ありがとうございます。無事に買えたらまた寄らせてもらいますねー」


「はい。いってらっしゃい」


 ギルドを出て、宿屋の……うわっと。

 考え事をしながら歩いていたら、前を行く人とぶつかってしまった。


「いてて。あ、ごめんなさい。よそ見してて」


「こっちこそ、見えなかった。すまんな」


 何それ、私が小さくてって意味?

 ムカつくなー。

 ちょっとムカムカしつつも目的の場所まで向かうと、さっきの男まであとをついてくる。


「あの、ついてこないでもらえます?」


「勘違いするな。偶然目的地が同じだけだ」


「だったら構いませんが……」


 何なのこの人……ちょっと気持ち悪い。

 きっとストーカーってやつよね。

 用心しないと。


 と、思ってたらデイジーさんのお店にまでついてきて。


「本当に、私を付けてきてる訳ではないんですよね?」


「くどいぞ。どうしてオレがお前みたいなチビスケの相手をしなければいけないんだ。自意識過剰も大概にしろ」


 がーーん。

 あーあー、この人言っちゃいけない言葉を口にしましたよ? 

 怒りに震える私に、男は本当にこのお店に用があったようで必要な薬品を買うだけ買って出て行った。


 帰り際にチラッとこっちを見ながら鼻で笑ったりなんかして、ムカつくーー。


「ーーちゃん、嬢ちゃん」


「えっ」


「えっじゃないよ。何が入り用だい?」


「あ、はい。150ポイントほど回復する魔法薬があればなと覗かせて頂きました」


「あるよ。中級魔法薬じゃな」


「おお、ではそれを5つ下さい」


「合計で5万Gじゃが払えるかい?」


「意外にお高い」


「そりゃ魔力なんてとんでもない物を飲むだけで回復させる代物じゃ。安い訳ないじゃろ? 初級魔法薬じゃと1,000Gで買えるんじゃが、お嬢ちゃんの望む回復量には届かない」


「ちなみにどれほど回復するのですか?」


「100ポイントじゃな。中級じゃと500ポイントじゃ」


「効果が5倍なのに対してお値段が10倍になってますよ?」


「文句があるなら他をあたりな。これでもありがたいって買ってくれる人も居るんだ」


「ごめんなさい! 文句がある訳じゃなくて、少し魔法薬についての知識不足でして」


「あんたダークエルフの癖して命綱の魔法薬に疎いって一体どんな冒険してるんだい?」


「少し変わった遊びですかね?」


「まぁ、ええわい。うちに顔出さずにそのレベルまで行けた祝いに初級魔法薬も3つおまけで5万Gじゃ」


「ありがとうございます! ではこちらお金」


「毎度あり。あんたみたところ本を使っとるようじゃがスクロールは何を使っとるんじゃ?」


 スクロールってなんだろう?


「その様子じゃと筋金入りの世間知らずじゃな? 仕方ない。ちょうどよかったの。ここでは補助魔法のスクロールも扱っとるよ。ダークエルフのお嬢ちゃんの為に一つ無料で進呈しようじゃないか。どれが良い?」


 ボーッとしてるとデイジーさんは勝手に話を進めてきた。

 どうやら目の前の三つのスクロールから一つを選ばせてくれるらしい。


『スリープのスクロール』

 魔力を10消費し、対象一体を眠らせる。


『バインドのスクロール』

 魔力を10消費し、対象一体を金縛り状態にさせる。


『パニックのスクロール』

 魔力を15消費し、対象一体を混乱させる。

 ※敵味方の認識を狂わせ、同士討ちさせる効果も持つ。


 その中で明らかに効果の高そうなのはパニックのスクロール。

 しかしその分消費魔力はお高めだ。

 でも決めた。今後私が世話になるスキルはこれだと指し示し、デイジーさんはそうかいと顔のシワを深く刻ませた。


 一度ギルドに戻り、お姉さんの元へ。


「いらっしゃいマールさん。その目は何か新しい出会いがあった目ね?」


「そんな目してましたか?」


「新しい力を試したくてウズウズしてるって顔に書いてあるわよ」


 どうやら分かる人には分かっちゃうらしい。


「それじゃあ次はこちらをお願いします」


「スコルピオンね。はっきり言って今のマールさんには強敵よ?」


「だからこそ挑む価値があるんです。負けても良い。でも、戦わないうちから逃げるようではダメだとお父さんに言われて育ってきましたから」


「良いお父さんを持ったわね。では受領します。失敗した場合の罰金はありません」


「ないのですか?」


「はい。代わりにギルドからの信頼を失い、次に同じクエストを受ける為にはそれ相応の貢献をしなければなりません」


 つまり負けられないクエストであると、受付のお姉さんは凄んだ。そんな笑顔に対して笑う私がいる。

 望むところだと、それでこそ私にふさわしいと、血が騒ぐ気がした。



 プレイヤーネーム:マール

 種族:ダークエルフ

 種族適性:魔法攻撃力+10%、水泳補正+10%


 冒険者ランク:E

 LV:17/20

 依頼達成回数:6回

 称号:『蛮族』

 資金:257,020G


 生命:170/170

 魔力:220/170[+50]

 /

 筋力:100

 耐久:0[+15]

 知力:3[+1]

 精神:0[+31]

 器用:0

 敏捷:0

 幸運:0

 割り振り可能ステータスポイント:32


 武器1:初心者の本★[知力、精神+1]

 武器2:太陽のオーブ★★[精神+20、魔力+50]

 体上:タランチュラベスト[耐久+15、精神+10]

 体下:初心者のスカート

 頭部:なし

 装飾:なし

 装飾:なし


 ◼️戦闘スタイル【ダークエルフ】

 <物理/素手>苦手:威力20%ダウン

 気合の咆哮

 ジャストカウンター

 飛び蹴り

 正拳突き

 羽交い締め

 超直感

 朧車

 集気法

 回し蹴り


 <魔法/杖>得意:威力10%アップ

 なし


 <補助/本>

 E????/グループ【15】


 <召喚/オーブ>

 Eヌシ様/グレータースネイク【150】


 <消費アイテム>

 初級魔法薬×3(回復量+100)new!

 中級魔法薬×5(回復量+500)new!

 生命の秘薬×10(回復量+9999)

 魔力の秘薬×2(回復量+9999)

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