第357話『んだよ邪魔クセー』





 第三百五十七話『んだよ邪魔クセー』





 十一月一日、午後十七時半、夕暮れ時。

 林の中は暗くなるのが早い。


 俺はパティメンとのセクロス祭りに休憩を入れ、一人ベランダへ出て東の空から頭を覗かせた月をながめつつ、お猪口ちょこいだ神酒アムリタをクピクピと飲んだ。


 ふぅ……美味いっ!!


 どれどれ、休憩がてら現状把握っと……


 ……ふむふむ、昼間に解き放ったセクシーな男の娘分神達が各地で腰を振っている。れられている奴が一人も居なくて草。


 分神から女性を誘う場合を除けば、エサに食い付いた獲物は全て男だな……


 はぁぁ~、狙い通りと言えば狙い通りだが、分神達は何故そいつらをキチンと掘るのだろうか、まるで掘る事が使命であるかのように掘りまくっている。


 男の娘分身の性的嗜好が少しばかり気になるところだ。



 それはさてき、ウンコタウンに近い町や村はアッーっと言う間に分神軍団によって陥落した。


 とした場所は全て無血制圧、血を一滴も……いや、破瓜はかの血を除けば血を見ずに制圧している。


 その後はヒマな『他の俺』がパパッと顕現してチョチョッとダンジョン化、そしてコマン子が新ダンジョンに転移、そこに待つ俺とセクロスしてコアっ子を産み管理を任せる……その繰り返し。


 新たに創造したダンジョンには真っ先に魔界トンネルを設置して瘴気を移送放出、ついでに悪魔移民も募集。


 ヨシッ、ウンコタウン周辺は少しずつ魔界化していってるな。


 亜神化していない悪魔に関して言えば、ダンジョン外でもウンコタウン周辺の居心地は良くなっているようだ。


 女神の嫁さん達は当然だが、亜神化した古参眷属にはまだ瘴気の薄いダンジョン外の活動はシンドイ。


 でもまぁ、たぶん俺と同じようにイズアルナーギ様から頂いた亜空間の入り口を頭上に開いて神瘴気を浴びていれば気合で何とかなるが……亜空間に保有する神気と瘴気の消費量がエライ事になるのでお勧めはしない。


 ダンジョン内なら神気も瘴気も留まって循環する、しかしダンジョン外だとその場に留まらず霧散、しかも生産補充されずただの垂れ流しになるからね、眷属が自由に遊べる星になるのはまだ先だ。


 いや、俺達がこの星を完全に制圧すればママンが自分の宇宙に取り込むから……そうなれば第二の惑星アートマン化が早まるな。


 とは言うものの、それも簡単な話ではない。


 不可触神は自分のルールやこだわりを曲げない、一種の自戒と言うか克己こっきや自制に似たモノを持つ。


 ママンの場合は敵対勢力以外を気にめない、基本的に侵さず殺さず奪わず放置する、それがママンのルール。自由度に余裕が有るイズアルナーギ様より徹底している。


 ママンならこの星だって簡単に取り込めるはずなのである、だがそうはしない……


 って事は、惑星アートマンの時と同様、息子の俺が『ヤッター、惑星ゲットだぜっ!!』と、完全制圧して息子の所有にしない限りは傍観だろう。


 ンッホ、あふぅん、あ、有り難う御座いまぁす!!

 どうやら正解だったらしい。


 とにかく、本来の目的である当宇宙域を管理する神々の捕縛、もしくはそいつらが有する神界の制圧・接収、これらをスムーズに実行出来る状況を作り出す事が肝要である。


 俺的には『そこそこ穏便に』済ませたいところではある、しかし、しかしなぁ……


 ママンが宇宙を分ける以前から惑星アートマンは異世界から攻撃されていた、にも関わらず中央神界が傍観していたのは如何いかがなものか?


 知らなかったとは言わせない、カスガ・アカギ両大陸に居た三皇五帝や奴らに加護を与えていた神々なんて敵対する異世界の神だった、知らんはずがない。


 それに、ママンとイズアルナーギ様が現れてからの引き際が見事と言うか何と言うか、こちらと関係断絶する決断も行動も異様に早い。


 中央神界に居る首脳陣は世界さんや不可触神に関わる物事をある程度知っているフシがある。


 地球を有するあの銀河も中央神界が管理する場所だ、その銀河にも異世界から襲撃が有った、その時は大魔王さんとイズアルナーギ様が撃退したが……中央神界はこれも傍観。


 これは何だろうな?


 敵の存在を知りながら教えず、加勢はしない……が、俺やママンが滅ぼしてきたようなアホ神どもを寄越よこしてこちらの邪魔はする。


 ……よう考えたらオモロ過ぎんか?


 笑わしよんなぁ……


 もはや中央神界は敵と言っても過言ではない。

 立場を明確にしないなら俺達はそう思って行動する。


 と、言うわけで――


 分神達よ聞くのです、『そこそこ穏便作戦』は中止っ、これより『ズコバコ・ビンビン作戦』へ移行するっ!!


 各員っ、勃起せよっ!!


 その神気が尽き志なかばで瘴気が戦場のつゆと消えようともっ、最期の時まで腰を振るのでつっ!!


 さぁ勃起をきたせっ、総勃起フルボッキの時が来たっ!!


 仮性勃起をかかげよっ!!



『す、すごく、ニオイそう……ゴクリ』



 黙るのでつっ!!

 男の娘軍団は全員仮性包茎なのでつっ!!


 そしてお前は一号とヨロシクやってろなのでつっ!!



『はいはい、あんまり無理しちゃ駄目よ?』



 無論なのでつっ、と言いたいところなのでつが……


 東から昇ってきたあの月……見てるな?



「やぁ月の女神、のぞき見は良くねぇ、良くねぇぜ」



 ふむ、月から妙な視線が消えた……


 気になるなら出張って来りゃぁ良いのにな。

 あ、神気が無いから無理か、たはーっ!!


 月に向かって『ニッ』と笑い、夜空に背を向けてベランダを後にする。


 さぁパティメン結束強化目的セクロス大会を始めるぞっ……と思ったらベッドの上には初心うぶい新人の悪魔侍女ちゃん達が恥ずかしそうに全裸で横になり並んでいた……


 これを手配したのは……小五リラパーティーの気遣いお姉さん、悪魔シスター『レズ・ビアンノ』か、さすがだな。


 僕はいちじるしく勃起をきたすと共に、あつい信仰と心遣いを見せるレズ・ビアンノに本陣の仮性勃起を掲げる名誉を与えた。


 レズ・ビアンノは感激して僕を肩車した(困惑


 肩車された僕の本陣仮性勃起はレズ・ビアンノの後頭部で上下にこすられ見事に開花、レズ・ビアンノの頭頂に栗の花を咲かせてみせた。


 強烈な香りを至近距離で嗅いだレズ・ビアンノは立ったまま気絶、僕は彼女の肩に『よっこいしょ』と登り、腰に両手を当てて仁王立ち。


 花を咲かせても枯れる事の無い栗の木を股間から天にき立て、僕は乙女達が両手を広げて待つ桃色ベッドにダイブした。


 ブッカケ状態の棒立ちレズ・ビアンノは獣系眷属の侍女達に抱えられて別室へ消えた。恐らく全身をペロペロされるのだろうが、ペロられるレズ・ビアンノはガチレズも有りなので幸せだろう。



 よっしゃ、初心うぶい悪魔ちゅわぁ~ん、ちょっと脚を広げて……ん?


 北の街道を進む分神隊が何か見つけたな……


 何だ?








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