第327話『お薬出しますねぇ~』





 第三百二十七話『お薬出しますねぇ~』





 日が変わって十月九日、大森林では朝日が顔を見せる頃か。


 俺は今、【です☆すた】内に創られた小宇宙こスモに居る……ちょっと自分で何を言っているのか解らないが、ゼウスに与えたフロアに入ったら宇宙だったんだ。


 世界さんの大宇宙ではないし、ママンやイズアルナーギ様が創ったような果て無き新宇宙でもない。


 ダンジョンのワンフロアを使っているから当然だが、果てが在るこじんまりとした宇宙がそこに在った。


 見た感じ俺が良く知る太陽系、水金地火木~の、あの太陽系。


 学の無い俺でも想像出来る、これはあの爺ィの仕業だろう。



「天空神、最高神、創造神、神々の王……肩書が多すぎるな、人々はどんだけゼウスに役目を負わせたんだ? 能力を盛り過ぎだろ……」


『各神話の主神は基本的に盛り盛りですね、【全知全能】と言う必ず矛盾やパラドックスが生じる哲学的能力以外はそなわります。アートマンの権能はギリギリを攻めていますが』


「お母ちゃんはなぁ、ほぼ全知全能になりつつあるのではと僕は考えてるんだ、アウト寄りのセウト(審判脅迫)だと僕は思うんだ、僕は哲学と理不尽にとても詳しいんだ」



 それはさて置き、小宇宙の創造なんて……古代から人々がゼウスに願い続けて具わった力だけで出来るとは思えんな。



『ゼウスは欧州やアジア・アフリカに於ける他宗教でも別の名で主神として同一視されます、その同一視された神々と同化しているので兄のハーデスやポセイドンを軽くしのぐ力を持ったのでしょう』


「なるほどなぁ~、って、あの爺ィはハーデスとポセイドンの弟なの? 見た目が一番ジジィじゃん」


『あの三柱は農耕神クロノスと地母神レアーの子です。ゼウスは末の子ですね。ちなみに、ゼウスの妻で貴方が寝取ったヘーラーは実姉。両親のクロノスとレアーも子と同様に兄妹婚です』


「さすがギリシア神族、性に寛容な日本神話を軽くあしらう驚愕の相姦図、面構えが違う」



 思わず真顔になるわ。

 ハプスブルク家が可愛く見えるレベルで草。



『ではラージャ、目の前に見える青い星に参りましょう』

「言い方は綺麗だが、たぶんあそこは肉林惑星だぞ?」



 あれは実質ピンクの地球だ、僕知ってるお。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 と言う事で、桃色地球に在るオリュンポス山にやって来たわけですが――


 ……山頂の神殿にお邪魔したらこのザマでした。



「イェァ、イェァ、カマッ、カマンッ、オォゥイェア……」

「はぁはぁ、も、もう堪忍して、堪忍して下さい……」


「なぁにぃ~? 姦淫して下さいだとぉ~? オゥイェア」


「キァッ、ち、違いますっ、何で同音異義語みたいな間違いを、アッ……」


「イェァ、イェァ、オープンヨマウッ、オープンヨマウッ!!」

「あぁっ激しいっ、え、え、お口を、開け……?」


「カミンッ、アイムカミンッ……オゥフ……これぞまさしくディプスロート、褒めて遣わす」


「ゲホゲホッ、ゲホッ……あり、有り難う御座います、グスン、ウッ、ウエェェン、グスン……」


「さぁ記念の五十戦目だ新妻ディプスロート、ヨツンヴァインになれ」


「ッッ!! グスン……もう堪忍して下さアッーーー……」




 これは思った以上に酷いな……


 ディプスロートの憔悴しょうすい度合いも酷いが、あの二柱の周りで折り重なるように倒れ込み、アヘ顔ダブルピース状態で気絶中の女神や女性眷属が多すぎる……


 だがまぁコレも想定内、予想通りではある。


 予想外だったのは、ゼウスが二十歳前後のガキになってる事だな。銀髪碧眼の色男だ。



「あれかな、いつもは威厳を保つ為に老人化してた?」


『人々が考える【最高神ゼウス】の姿が初老の男性ですから』


「あぁ、なるほどなぁ~、本来は今の若々しい姿なのか。確かに、兄貴のハーデスより若いな。でも老人のままヤらないのは何でだろう?」



 体力とかペニスサイズの問題かな?

 そこんトコ教えておくれっ、智の神ヴェーダっ!!



『相手が苦手とする年齢層に化けているだけですよ、アレは』


性根しょうねが腐ってて草」



 どうしようも無ぇな……

 何でアイツ人気が有るんだろう?


 俺がガキの頃人気が爆発した『ビックラマンチョコ』に入ってたシールにも【レイパーゼウス】として描かれてたし、普通に人気が有った。


 レイパーゼウス自体は特別カッコ良くもねぇのに、不思議だなぁ?



『ラージャ、ゼウスがハメながらこちらへ来ます』

「ハメながら……っ!?(クワッ」


「イェァ、イェァ、よぉ若いの、ヘーラーのまりはどうだ?」



 挨拶の一発目に元嫁の侮辱を選択するクズの鑑っ!!

 さすがの俺も目が泳いだぜ……



「まぁ、そうですね、素敵な女性です」


「ハッハッハ、あれでもわしの姉だからな、締まりは良い」



 締まりの話はしてねぇし、アンタの姉である事と締まりの良さに何の関係が有るのか僕には解らない……



「オッオーゥ、ウッ、イェァ、何はともあれ真我の息子よ、儂は汝を誤解していたようだ。チィッ、もっと締めるのだっ、カマンッ、カマンッ!!」


「ア、ア、ア、ア……」


「……ディプスロートが壊れそうなんですが」


「気にするな、冥神は少し荒い扱いが丁度良いんだ、カマンッ!!」



 少し荒い?

 死にかけに見えるけど、少しかな……?



「そうですか、で、誤解とは?」


「儂は確信した……汝もオリュンポスの神だ、間違いないウッ!!」


「ア、ア、ア、アァァ……(ガクンガクン、ピクッ……」


「何……だと?」

『ヒドイ侮辱ね……』



 言って良い事と悪い事の区別もつかんのか……

 紳士な俺が股ユル神族と同じだとぉ?


 キレちまったぜ、久しぶりに、な……



「ふぅ……儂はこの空間を得た時、フと、汝の星を考えてみたのだ」


「ほぅ、それで?」


「誰にも邪魔されず、否定されず、問われず、追われず、ペニスのおもむくままに……突き進む(意味深」


「お、おぅ、それで?」


「儂が、いやオリュンポスが目指していた世界がそこに在った」




 何言ってんだコイツ……(汗







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