第311話「ゴメン、もう三回言って?」
第三百十一話『ゴメン、もう三回言って?』
まったく、祭日だと言うのに無粋な奴が多くて困るぜ。
少しくらいバイオレンスな日常を忘れたいと思わんのか?
何故か、カスガ大陸の山脈ダンジョンまで苦情を言いに来たアホが居る。そいつらは北のアカギ大陸から飛空艇みたいなヤツで飛んで来たらしい。二皇の遣いだな。
俺に『捕虜の返還』を求める……とか言われても困る。
どんな捕虜か知らんし、捕まえたのは俺じゃなくて大魔王さんだ。
『ラージャに謝罪と賠償を要求しています、どうしましょう?』
だから何で俺なんだよ……
『リリスとプルピエルも二皇ダンジョン攻略に参加していますが』
おぅふ……
そうだった、お嫁さんも共犯だった。
仕方が無い……だが断るっ!!
ダンジョンは攻撃されてナンボだろうがっ!!
損失が嫌なら店仕舞いして
それが嫌なら首刎ねて死ねっつっとけ!!
俺は今から帝王陵に神気を流し込む大事な仕事があんだよっ!!
帝王が生前に造る墓だ、いわゆる『寿陵』ってやつだぞっ!!
神聖な儀式なんだぞっ、僕は怒ってるんだぞっ!!
なので、そいつらはダンジョン山脈のエサとして処分しなさい。
『畏まりました。それから――』
まだ何かあんのかよぉ~……
『ルシフェルが二皇ダンジョンの攻略に手を貸せと申しております』
え、何で?
どう考えても楽勝そうだけど……?
『プルピエルとリリスが健国際で攻略から抜けたからでしょう』
いやいやいや、たった二人居なくなったところで大魔王さんは困らんだろ……?
人材が豊富すぎて逆に困ってそうじゃん、攻略部隊の人員整備とか自薦が多すぎて大変そう。
『その通りですが、今回はルシフェルの配下ではなく、元捕虜の北方魔族を投入したようで……』
北方魔族? 教国に攻めて来たあの?
オマン湖ダンジョンに居た奴ら?
大魔王さんが皆殺しにしたと思ってたけど……
『その北方魔族です。ただ、ルシフェルが殺さなかったのは彼が直接尋問したオーガの一族だけです。今回の攻略もそのオーガ部隊ですね』
あぁ~、あの……『
『ジオ・カケテマス=オスッコですね。自分と家族の首を差し出すので部下を助けてくれとルシフェルに頼んだ男です』
それなぁ……傲慢の大罪とその権能を持つ大魔王に頼む事じゃないと思うんですがねぇ。
大魔王さんに傲慢かまされるフラグ立て職人すぎて泣ける。
結局あれだろ、お願いとは逆に家族以外を殺されちゃった感じだろ?
それで気が狂った的な話だったけど……
『その気狂いぶりを気に入ったルシフェルが、面白がって悪魔の林檎を食べさせたようで……現在は陽気な悪魔【カケテマス・オシッコ】となって頑張っているようです』
名前……
氏族名だけな上にストレートすぎて草。
まぁいいや、それで?
そのカケテマスが苦戦してんのか?
俺達が手伝うって、何を? 援軍寄越せって?
『ダンジョンの支援効果に苦戦しているようです。リリスとプルピエルには私が付いていましたので無効化していました。もっとも、彼女達に私の援護は不要でしょうが』
あぁ~、ダンジョンの支援効果か……
毎回お前が侵食で無効化するから忘れてたわ。
今回も侵食してやれば?
『そうなりますと、あのダンジョンはラージャの所有となります、ですので別の形でルシフェルへの助力を考えましょう』
えぇぇ、面倒臭ぇなぁ……
もう戦闘機でも送ってやれよ、幾らでも有るだろ。
『畏まりました、機種はどれに?』
う~ん……【
イズアルナーギ様が何かのオマージュで造ったとか言うヤツ。
あの機種もサイコエネルギー馬鹿食いでプルピーとフオウさんとか、一部のサイコ以外使えんとか言ってたじゃん。
カケテマスが頭クルクルパーなら乗りこなせるだろ。
『ではその様に。それからラージャ……』
まだ何か有るんですかっ!!
『帝王陵の休憩室で厠番と致すのはお
あ、ハイ。
ウッ、ふぅ……
でも桃色空間は……ほら、イセトモが寝てるから……
時にはこう言う静かな情事も大切かなって……
そして今の厠番娘は後宮に入れて下さい、凄く上手です。
『畏まりました』
よっしゃ、スッキリしたので帝王陵の落成式を始めるかっ!!
まぁ俺が神気を流すだけなんだけどねっ!!
流す場所もヴェーダ任せだから知らないんだけどねっ!!
クックック……
地脈とか龍脈って何だろう……
『神気を流せば分かります(たぶん』
そっか、任せろっ!!
俺はヴェーダの言う事を素直に実行する事に関してだけは誰にも負けない自信が有るんだ(キリッ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
帝王陵はハイジクララ山脈を削って造った階段型ピラミッドだ。
そのピラミッドの頂上は平らで、そこにアートマン座像が在る。
クッソデカい座像なので大森林の至る場所から見える。
何故か赤ちゃんゴリラを抱っこした座像だが問題無い、俺が少し恥ずかしい気持ちになるだけだ、大丈夫だ。
俺が妖蟻に渡した見本のミニチュア座像は、お決まりの『鎖に繋がれたゴリラを右足で踏み付ける』調伏姿のママンだったが、大丈夫だ、問題無い。
ママンとヴェーダの注文が入れば、妖蟻工兵も帝王が渡した見本などドブに捨てるのだ、問題無い。
問題はそこじゃないんだ……
ヴェーダに言われた通り、座像の前に埋め込まれたバレーボールほどの青い水晶……って言うか強化コアに置き替えられたなコレ、まぁそれに思いっきり
そしたら何か『カチッ』っと接続された感じがした、惑星と接続したね、僕。
するとどうでしょう、帝王陵の真上、遥か上空にママンの複数あるうちの一つっぽい右目が顕現したではありませんかっ!!
デカすぎワロタ。
俺達の視界に入りきらなすぎて草。
これは余裕でこの惑星の全人類に見えたな……
眷属達は初めて拝むママン(右目)に驚愕して平伏。
大魔王さんが捕らえた敵兵もアホ
そりゃなぁ、本物の『大神』だしなぁ、その辺に居る歳だけが自慢の神々とは格が違う。息子の俺だって
まぁとにかく、俺の考えとはかなり違ったが、信仰を一点に集めるって目的は十分すぎるほど達成出来た。
元々は護国神社的な感じで、『死んだらあそこで会おうぜ』みたいな場所にしたかったんだよな帝王陵。
俺の滅びは当分先だが墓だけは先に造っとくから、お前らも俺と一緒に寝ようぜ的な、そんな感じ。
現に、最初に死んだシタカラ達五名の名前が帝王陵の脇に在る石碑に刻まれている。
しかもママンに護って貰えるお墓だ、安心出来るだろ、って。
そしたらまぁ御利益と言うか何と言うか、護国が過ぎる状態になった。望んで死ぬ奴が出らんとも限らんなこりゃ……
『う~ん、龍脈と地脈が交差していた場所なので、ラージャの神気を流せば惑星の侵食が出来ると思ったのですが……それ以上の効果が有りましたねぇ。これはゲーム勝利者としてアートマンの主神認定と時期が重なったからでしょうか?』
え、何の話?
『アートマンが神界を、いえ、【浅部第98宇宙域】を完全に支配しました。あ、アートマンが宇宙域を大宇宙から切り離します……切り離しました、ウソでしょ……』
お、おう。
ちょっと何言ってるか分からないな……
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