第233話「ちょ待てよ」





 第二百三十三話『ちょ待てよ』





 見た目がマフィアな悪魔達がニヤニヤしながらズボンのチャックを下ろした。


 マジか、マジなのかっ!?

 そんな大人数でヤっちまうのかっ!?


 リンチ現場に転移して早々、俺は悪魔の卑劣な虐待を目にする事になってしまったんだぜっ!!



「ヤメテっ!! これ以上私のオマン湖をけがさないでっ!!」



 とても卑猥で悲痛な叫びを上げる全裸の女、コアだな。


 その女はロキさんから首根っこを掴まれて身動きが取れない。


 魔界の大親分にコアの洗脳など効かない、女の抵抗は全て無駄。


 残念だが、極悪華麗なファールバウティの血族に、お前の叫びは届かん。


 湖畔に並んだ悪魔達が一斉に情熱を開放した。



「ヤメテェェェェェッ!!!!」



 ジョロジョロと落ちる黄金水、舞う水しぶき。


 静かな湖畔の森の影から、俺は黙って悪魔の連れションを見つめていた。


 あんなに美しくそろった連れションなど、生まれてこの方見た事が無い。


 泣き崩れるコア。


 ロキさんは女を持ち上げ放り投げた。

 女は数回バウンドして止まる。


 粗略に放り投げられ、地べたで泣き伏せる女の隣には、ズタボロになった死体……


 ……ズタボロとスパロボって、何か似てる。


 盛者必衰のむなしさを見た俺はそんな事を考えつつ、あの女はもう食べて良いのかな? そう思った。



『宜しいのでは?』



 あのズタボロになった奴の魔核も食べて良いのかな? そう思った。



『宜しいのでは?』



 あ、じゃぁ頂きますね。そう思った。





 両肩に嫁さんズを装備した俺が湖畔の森から出てテクテク歩く。


 悪魔達はひざまずき道を開けてくれた。


 オッスオッス、御苦労っ!!


 まずは義父ロキさんに挨拶。お疲れさんです!!


 ロキさんが右手を上げて応える。



「早かったな、オメェがブッ殺した野郎はゾロアスターのアホだったって?」


「あ、ヴェーダに聞いたんスか、そうスねぇ、アカ・マナフって奴でした。ブッ殺したのは俺じゃなくてヴェーダっス」


「そいつの神核を喰ったのはオメェだろ? じゃぁトドメはオメェじゃねぇか」


「あ、そっスね、えへへ。え~っと、ところでロキさんは、あのコア要らないんスか? 要らないなら俺が喰いますけど……」


「要らねぇよ、どうせオメェにやるつもりだった、隣に有るゴミの魔核と一緒に喰いな」


「アザーッス!!」



 相変わらず太っ腹なお方ですなっ!!

 その男臭さは僕の肛門を刺激しますゾ? なんつって!!



『アーベに伝えておきますね』



 よせ、アイツのはデケェんだ、シャレにならん。


 さてさて、それじゃぁ素っ裸のコアちゃんを食べましょうかねぇ。


 ロキさんに一礼してコアちゃんの許に向かいます。


 ドスンドスンと地響きを鳴らしながらテクテク歩くぜ。

 あ、コアちゃんがゴミにすがって泣いています。


 やめてよ~、ごはんが汚れちゃうじゃないか~。


 ゴミはダンジョンに吸収させましょう、あ、魔核は残してね。


 名も知らぬ五帝の一人がダンジョンに沈んでいきます。


 泣き叫び慌てるコアちゃん。



「ベーション様ぁぁぁ、嫌ぁぁぁっ!!!!」



 沈む五帝の名前はベーションだそうです。


 さらばだ、マスター・ベーション……

 お前の名は、忘れないっ!!



『忘れるのは難しいような……』



 バカめ、俺は忘れっぽいんだ、だから気を付けるんだっ!!


 じゃぁな、お前の事は忘れんぞ、オナニーっ……



『初めて敵に同情しました』




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「クッ殺せっ、卑怯者っ!! た、たとえ貴様が持つマスターとしての『射制力センズリック』が高くともっ、このオマンが屈する事など無いっ!!」


「お、おう」



 何言ってんだコイツ……


 俺の顔を見た瞬間に顔を赤らめてわめき始めたぞ?


 センズリックって何だ?……

 何でコイツは俺を見てハァハァしてんだ?……



『少々お待ちを……ふむ、ふむふむ、なるほど、射制力とはつまり、ダンジョンマスターが持つ【一突きでダンジョン全体を射抜く制圧力】らしいですよ?』



 でって言う……

 一突きって何が何で?



『優れたマスターが、その掌握力で、方法は問わず』



 う、う~ん、なるほど?

 ハァハァしてんのは何で?



『射制力の強いマスターはダンジョン運営を潤滑にする為に、コアをとりこにする物質を体内で生成し放出するようです。コア特効フェチモンですね』



 う~ん、何故そんな体質に……


 魔ドンナんとこのコア喰ったから射制力が強くなったんですかね?



『手当たり次第にコアを取り込んだからでは? しかも魔神ですし、格下の魔人とは射制力もフェチモン放出量も違うでしょう。そこのコアも前マスターとの余りの違いに驚いるようですし』



 え、コイツ驚いてんの?


 ヘボマスターとダンディー過ぎる俺との違いに?

 圧倒的に好い男の俺とモブ死したアホとの違いに?

 頑丈過ぎるペニスが嫁さんズを泣かせてしまう俺に?


 え、コイツ今更驚いてんの?


 かぁーっ困るわ~、好い男を知らんコアは困るわ~。



『うふふ、ならば教育してみては? 元凶のアカ・マナフもダンマスも滅ぼしましたし。従属を誓うならコアを飼いならすのも面白いですよ?』



 え、俺今すぐにでも喰いてぇんだけど……



『憑依型ではない生粋の人型コアは生殖実験するのに都合が良いかと存じますが』



 いやいや、娘と妹に手ぇ出されて『お前はセックス出来るから赦す』は無いわ~、大森林的に無いわ~。



『残念です、その子がポンポン【子コア】を産んでくれれば、何かと役に立つと思ったのですが……そうですね、コアと言えども嫌がる女性に襲い掛かるラージャではありませんでした、ごめんなさい』



 なん、だと……っ!!


 嫌がる? コイツが?


 俺にメロメロで全裸M字開脚バッチコーイしそうなコイツが?



『気になるのはそこですか……まぁ女の勘ですが、その子は前マスターにみさおを立てて性交を拒否しますよ?』



 ば、馬鹿な……っ!!


 足元で俺を睨み付けるオマンちゃんを見る。

 ビクッと肩を跳ねて震えだした……イッてる……


 あ、また睨み付けてきた……けど、微妙に股を開いている……


 え、拒否られるの? この子に?

 目が合っただけでイッたのに?



『ええ、拒否しますよ。さすがのラージャでも無理じゃないかナー』



 で、できらぁっ!!

 ラブラブセックス、できらぁ!!



『ホントかな~、まぁ、無理は言いませんよ。さぁ、お召し上がり下さい』



 ヤ、ヤってやらぁ!!


 あのツンとした生意気乳首をゴリラ色に染めてやらぁ!!


 僕は右手でオマンちゃんをヒョイと摘まみ上げます。



「やいっ、オマンちゃん、結婚しようず」


「ッッ!! クッ、卑怯者めっ!! その魅力溢れる射制力センズリックが無ければ何も出来ない極悪素敵猿めっ!! このたくましい両腕に抱かれて寝室へ連れて行かれる私ではないぞっ!! たとえこの身をその……凄く大きいです……で貫いたとしてもっ、私の心をその……凄く濃そうです……な白因子で染められると思うなっ!! 私は屈しないっ、この美しいオマン湖に掛けてっ!! あ、オマンにブッカケてと言う意味ではないです、分かったなっ!! プロポーズは夕日に染まる静かな湖畔の森の奥で野獣のように襲いながら言われたら私も少し厳しいかもしれませんっ、あなどるなよっ!!」


「え、あ、うん」



 ヤベェ、これヤベェやつだ……

 これ、喰った方が良いのでは……?



『大丈夫です、少しばかりフェチモンに酔っているだけです。頑張って子コアを産ませて下さい』



 そ、そうか、分かった。


 あ、そうそう、気になってたんだけど……


 大魔王一家が居ないのは何故?



『イズアルナーギに呼ばれて地球に向かいました。ルシフェルに関わりの有る地球圏神界最大勢力と抗争が始まったようです』



 僕その最大勢力知ってる……

 たぶん地球人のほとんどが知ってる……


 大魔王さんはスゲェなぁ(白目)


 コアとのラブラブセックスを問題にする俺とは大違いだぜっ!!






   第七章・完







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