第219話「舐めさせるムーブ」





 第二百十九話『舐めさせるムーブ』





 真神様を迎えた翌日、僕は早速真神神社と神像を創りました。


 ダンジョン街は当然として、その他の都市にも神社を創造するのです。


 俺がセコセコ働いている間、真神様は嫁さんズと面会。


 真神様はとっても古い神様なので、オッパイエやムンジャジは緊張していました。


 縄文時代の前、旧石器時代から崇拝されていたニホンオオカミの神様だそうです、格が違いますな。


 眷属だったニホンオオカミが絶滅した時は、これも時の流れと受け入れたようですが、さすがに涙が止まらなかったと仰っておりました。


 祟り神になる下地は出来ていたんですねぇ、無情っ!!


 だがしかしっ!!


 もう大丈夫、ご安心されぇっ!!


 この未来の義弟ナオキがっ!! お姉様に悲しい思いはさせませんぞっ!!



 お姉様は『家内安全』、『安産』、『子孫繁栄』、『豊穣』等々、御利益詰め合わせ欲張りセットな神様でしたので、その御利益に見合った『大社』を建てる事にしました。


 出雲いずもの空中大社がどんな造りだったのか教えて貰ったので、それを基にグレードアップ!!


 狛犬の代わりにスコルとハティの石像も添えて……

 わんわんおフレンドパークも敷地内に……


 ちびっ子わんわんおに囲まれた真神像をこんな感じに……

 あぁ~、良いですね、母性が溢れて溺れそうです……


 ゴリラを説教するお姉様レリーフもついでに……

 あぁ~、オゥイェス、良いですねぇ……

 兄やん求婚図もついでに……

 更に更に……



『また貴方は何も考えずに……』



 え? 何か言った?

 あ、そうだ、魔界にも……




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 一週間経ちました。

 各地の真神神社は大盛況です。

 特にコボルトがヤバいです、住み着いてます。


 コボルト達は真神様を『我らが母』とか言ってます、尻尾と耳以外似てないんですが……


 まぁ、俺の姉ってとこも人気のアレだな……

 御利益もアレだな……ちょっとアレだったな……


 マハルシに建てた空中大社には、お姉様が悪神として顕現なさって居りますが、まぁスゲェ人気です。


 この人気はお母ちゃんと張るんじゃないかな?


 拝めば家内安全、安産は約束されるし子沢山に恵まれるしで、エロ推奨の新興国で人気が出らんわけがねぇな!!


 ただ、超多産の妖蜂と妖蟻がお参りすると、エライ事になるんですがそれは……



『是非も無し』



 だなっ!!



「これナオキ、ちこぅ」


「あ、ハイ」



 大社の盛況ぶりを見てボケっとしていた僕に、お姉様が綺麗なお声を掛けてきました。


 うっ、その美声だけでイきそうだぜ……っ!!


 お姉様は相変わらず筋斗雲に寝そべったままですが、とても元気になられたご様子。僕は嬉しいです。そして着物の裾が乱れすぎです、勃起を誘発しますぞ?


 そんなお姉様がムクリと体を起こして、僕に『おいでおいで』と右手を魅惑的に動かし遊ばすっ!!


 我慢だ、我慢だナオキ、お姉様は兄やんのお嫁さんだっ!!



「よしよし、良い子良い子、わらわは良い弟を持って幸せじゃ、ほほほ、い奴」


「えへへ……アザーッス(お、おかしいな、俺の巨体を持ち上げて膝の上に置いた……この人もサイズ分からん現象にっ!!)」


「うむうむ、どれ、未婚のうちに弟の子でもこさえるか」


「ん? え、ちょ、うほぉぉぉぉおおっ!!」



 ば、馬鹿なっ!!

 一撫ででバクハツしただとぉ!!


 三擦みこすり半なんてレベルじゃねぇぞ!!


 こ、これはゴッドハンド……ッッ!!

 か~ら~の~、ぎゃ、逆松葉崩まつばくずしだとぉぉぉっ!!



「案ずるな、この姉に任せるのじゃ」


「お、お姉様、お待ちになってクレメンス!!」


其方そなたが、其方が悪いのじゃ……ハァハァ」


「待っンっはぁオほぉぉぉふぁぁああっ!!」



『おや、あれはフェンリル……こちらを覗いて興奮していますね。親子揃って度し難いクズです』



 そ、その情報は今必要?


 うっほぉっぉぉ、ま、また絞られりゅぅぅ~…………




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 今日は二月二十日、北の大地は晴天なり……


 全盛期以上の力を得たお姉様は、僕を毎日可愛がって下さった。


 嫁さんズと一緒に可愛がって下さった……


 何故かお姉様と意気投合した妖蜂姉妹との可愛がりが一番キツかった。正確に言うとトモエがキツかった。


 フェンリル兄やんはお姉様にコクる様子を見せず、毎日覗き見してハァハァしていました。あの人は何がしたいんだ……



 そんな毎日を続けておりましたら、あっという間に北方魔族と協議する日に……なんて事にはなっておりませんな。


 奴らは現在、長城の第二要塞(山脈側から二番目に設置した要塞です)から西へ約十キロ地点で野営中。しかも二日目。


 見つけてくれと言わんばかりの煙を上げつつ焚火をしながら、蟲に監視されているとは知らずに『お出迎え』を待っているご様子。


 相変わらず、魔族は面子メンツにこだわるねぇ。


 山脈から海まで縦断して海岸沿いにグルリと囲む長城を数日で築いた勢力相手に、何の面子を保つ必要が有るのか、理解に苦しむ。



『それだけ自勢力の強さに自信が有る、とも取れますね』



 まぁなぁ、アイツらの装備、あれってダンジョン産だな。


 人数は百人程度の中隊規模だが、そいつら全員がなかなかの装備だ。


 う~ん、こりゃぁ間違いねぇな……



『どこを探しても彼らの拠点らしき町や村が在りませんからね。ほぼ間違い無くダンジョンに住んでいます』



 だろうな、人間も魔族も少ないはずの北方で、三皇五帝の一人が居るってのがオカシイんだよ。デケェ牧場持ってやがるな……


 となると問題は、奴らがダンマスと組んでいるのかどうか、ってとこだな。


 まぁ、組んでいようがいまいが俺達には関係ねぇか。

 喧嘩がしてぇならいつでも買ってやる、それだけだ。



『長城を発見した経緯や手段はダンジョンマスターの力でしょうか、動きが早いですね。蟲の監視には斥候らしき存在は確認出来ておりません』



 う~ん、三皇五帝の後ろには異世界の悪神が居るんだろ?


 こっちの情報教えるのもルール違反にならねぇ神だ、どうとでも出来る。



『あぁ、失念していました。これはまたルシフェル達が喜びそうな案件ですねぇ』



 だなぁ。


 さて、俺達はアホ共がキャンプに飽きて腰を上げるまで、高みの見物と行こうか。



「ちちうえー!!」


「……はい、何でしょうか」


「だっこー」


「はい、よっこいしょ……」



 ケモミミ和服幼女が抱き着いてきます。


 まぁ、私の娘ですね。お姉さんとの子です……


 神狼の子供って成長が早いなぁ~(白目)



『その子が北方長城の初代太守でしょう?』



 ……お姉さんがそうしろって言うので、はい。



『うふふ、相手に舐められそうでドキドキしますね』



 それが狙いだろうなぁ……はぁぁ……









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