第180話「でもまぁ、アリやなっ!!」





 第百八十話『でもまぁ、アリやなっ!!』





 う~んこれは……



『宜しいのでは?』



 アリやなっ!!




 十月二十七日、晴天だった空は夕焼けに染まりつつある。


 考えるゴリラはメインダンジョン『マハルシ』に居ります。


 マハルシをマルハシと言ってしまうのは元日本人の運命さだめか。


 何度も何度も間違えて恋女房に呆れられるのです。


 そんな私は眷属達と共に、マハルシの会議室でヴェーダが見せる立体映像を使い、義兄フェンリルの『ちょっと出てくる』に対する確認と観察をしている最中です。



 おっとイケナイ、そうそう、今日は二十七日です。

 北伐決意や瘴気排出計画から二十日も経過しています。


 ですが、問題発生です。


 大森林が広すぎて瘴気が満たされない、薄い。

 その事に気付いたのは十九日前、気づいたのは勿論ヴェーダ。


 これは何とかせねばとゴリラは浅知恵を絞ります。


 頑張れゴリラ、絞って出るのは我慢汁だけなのかっ!?

 そんな事はない、僕は頑張りましたっ!!


 かつて、某国王妃マリー・アントワネッツが言った。



“パンが無いなら量産しなさいよ”



 正論である。

 札束で往復ビンタを張る王族の鑑。

 同一規格の大量生産こそ正義である。


 しかし妃殿下、パンを作る小麦粉が無いのです。


 国の現状を説明する大臣。

 呆れた様子でマリーは応える。



“小麦を沢山植えなさいな、あなた馬鹿ぁ?”



 正論である。

 無敵かこの王妃? 絶句する大臣。


 しかし妃殿下、旱魃かんばつで川が干上がり麦畑が……


 国の窮状を訴える大臣。

 溜息を吐いてマリーは応える。



“水なら海に沢山あるじゃない、お馬鹿さん”



 正論である。

 塩分を取り除けばイケるっ!!

 莫大な費用と時間が掛かるが嘘は言っていないっ!!


 だがしかし、大臣が無能だった。

 彼は言われたまま海水を田畑に撒いた。


 マリーの失敗は海水運用時の注意事項を伝えなかった事。


 二年後、マリーは断頭台で……クッ!!


 マリー、君は間違っていない、僕が証明してやる!!


 マリー・アントワネッツの正しさをっ!!



『誰?』




 そんな感じで、先ずはDP稼ぎを開始。


 トンネルズに命じて悪魔移民を大募集。

 老若男女・性質性癖問いません。人畜との交配可っ!!

 ゴブリン眷属(男)のポロリもあるよっ!!


 次いで二つの魔窟をダンジョン化。階層も増やす。

 もう俺の存在は魔ドンナに知られているので問題無しっ!!


 西の魔窟を『キスキル・ダンジョン』と命名。

 サブマスはキスキル・リラの『リリーちゃん』だ。

 リリーじゃなくて『リリーちゃん』が名前だぞ。


 東の魔窟は『デンパ・ダンジョン』にした。

 サブマスはビッチサキュバスから電波さんに変更。

 電波さんの名前は『コンゲ・ツァレ・ガコナィノ』です。


 これで、俺が持つサブダンジョンは四つ。


 セパルトゥラ、デンパ、キスキル、長城。DPとFPの産出量が多い順に並べるとこうなるな。


 ほぼ娼館ダンジョンのデンパとキスキルはDP産出量が異様に多い。どうやら、俺のダンジョンは性欲混合生気だとDP変換率が高いと判明。


 みんなにエロスを推奨した。

 大切な事だからなっ!!


 キスキル・リラやサキュバス達は本腰を入れてセクる。

 ゴブリンとコボルトも腰の回転を速めた。


 セパルトゥラの娼館は九割引セールを開始。

 人間共が群れを成して娼館に突撃、骨抜きにされる。



 各ダンジョン内の街に数件在る悪魔娼館も大繁盛。

 こちらの支払いはFPでする事になった。『FPペイ』でなっ!!


 これはアートマン様が手伝ってくれました。

 神像を捧げよっ!! と俺の心が叫んだぜっ!!


 高さは1m程だが、仙気を神気に変換しつつアハトマイトに流し込み、総アハトマイト製のアートマン神像を彫り上げ大神殿に奉納。


 以前から考えていたFPペイカードをアートマン様におねだり。


 お褒めの股間サスサスを頂き、一瞬で国民全員に配布完了。

 狼やワイバーン達にまで配られているっ!! あざーっす!!


 アートマン様とヴェーダの加護が付いていない者と非眷属には配られていない。そんな奴は居るか?


 居た、大魔王に呼び出された教国の悪魔達だ。


 彼らは大事な戦友だ、新たに『DPペイカード』を作って渡した。ダンジョンで人類をぶっ殺したりセクースしたりするとDP残高が増えるよ!!



 こんな感じに頑張ったのが十九日前。

 三日後には悪魔の総数が百万を超えた。


 大急ぎで各ダンジョン内の街を拡張、階層も増やす。

 それに応じてトンネルズがトンネルの本数を増やした。


 瘴気排出口もガンガン増やす。排出量もうなぎ登り。

 大森林の魔界化が順調に進みます。


 ダンジョン運営に不可欠なDPも引くほど貯まる。


 そこでアカギとカスガが僕に告げます。



「イセとトモエちゃんの準備も出来たしぃ、地下もダンジョン化して良いのよぉ? もし何かあってもマハルシや丘陵街に転移で避難出来るでしょう? それに『お父様』もいらっしゃるわ、大丈夫よぉ」


「クララ・ガ・タッタも三大公の城も今のうちにダンジョン化してしまえ。いずれ次の女王や大公が住む、サブダンジョン同士で繋がる方が効率的だし安全だ。何なら大森林を全てダンジョン化してもいい、クックック」



 優しく微笑むアカギ、ニヒルに笑うカスガ。

 さすがに大森林全体のダンジョン化はまだ無理だが……


 そんな事言われたら、僕ぁ、僕ぁ……っ!!


 やりました。


 先に住民の多い地下帝国をダンジョン化。

 三十万人の生気徴収でDP産出が一気に増える。


 地下帝国内に森とか川とか創っちゃう。

 アートマン様への信仰心が爆上がり。



“マハー・アートマン!!”の大合唱。

“ナオキ・ザ・グレイッ!!”のオマケ付き。



 今回は俺にも信仰の力が入って現人神化カウントダウン。

 ヘルから新しい祝福【待ってる】が届く。気絶。


 気絶から立ち直り『クララ・ガ・タッタ』と三大公の城もダンジョン化。


 ツバキが女王代理兼サブマスとして東浅部に赴任。

 三大公も三人の公女を代理兼サブマスとして向かわせた。


 と言っても、移動は転移で一瞬だ。

 初日のあれこれが済めば地下帝国からの通勤となる。


 彼女達の護衛は最小限にしてもらって、僕が悪魔を創造。

 強力な召喚悪魔を百体ずつ渡す。全部女性型ですぞ。


 ついでにカスガと三大公の許しを得て、妖蜂の城や街に悪魔侍女と悪魔執事を十五万人ずつ送り込んだ。


 メンテナンスと防衛、それとDP稼ぎ部隊ですね。

 勤務時間外はセクって下さい。とても助かります。


 これで、東浅部にもサブダンジョンが出来た。


『クララ・ガ・タッタ』と三大公の城に魔界トンネル設置、ほぼ瘴気専用排出口だな。



 長城のダンジョン化も進み、こちらも階層とトンネルを増やす。


 ここは人間の捕獲が盛んです。近隣住民は狙わないのがコツ。


 太守のアエーシュマは女人畜を多数妊娠させていた。

 創造召喚の悪魔でも問題無く繁殖出来てなによりです。




 え~、このようにですね、僕は出来る事をガンガンやって二十日間を過ごしたのでした。


 セパルトゥラ、デンパ、キスキルの三か所からも余剰分の瘴気が転送されて、大森林の瘴気濃度はアッと言う間に高まった。


 悪魔達の自由を阻害するものは何も無くなったのです。



 その結果がコレだよ……


 う~ん、これは……



『宜しいのでは?』



 アリやなっ!!



 フェンリル兄やんが深部の二大エリアボスを食い殺したけど何の問題も無いなっ!!


 経験値的にアレやけどアリやなっ!!


 ジャキとレインがションボリしてるけど、アリやなっ!!







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