第169話「いや、ロボットじゃねぇよ?」




 第百六十九話『いや、ロボットじゃねぇよ?』





【称号・加護・祝福】


『エデンの二人(強制婚約)=悪魔統率(強)・契約違反はハルマゲドン』



 なるほど、【祝福】項目が追加されてるな。


 ……ふぅ。


 現実を見ようか。

 祝福効果の『悪魔統率(強)』は有り難い。


 でも次は駄目なヤツだろ、意味が分からない。

 娘さんと結婚しなかったら終末を迎えるの? 俺が?


 そんなわけないか、世界の終末ですね分かります。


 そのまま世界さんをぶっ殺してくれませんかね?

 チラッと大魔王さんを見てみる。


 うわぁ、上機嫌だ。綺麗な笑顔ですねっ!!



「今日は来て良かった、まさか優秀な娘婿が得られるとは思ってもいなかったからね。あぁ、ヘルとも結婚するから【ファールバウティの血族】と私は親戚になるね、アートマンやヴェーダもか、素晴らしい」



 何でヘルと結婚する事知ってるんですかねぇ……

 犯罪の臭いがしますねぇ、『強要』と『詐欺』の臭いがねっ!!


 とりあえず『共謀罪』は確定でファイナルアンサー!!



「これからも悪魔を好きなだけ呼ぶと良い、君のダンジョンなら魔王でも呼べるだろう、瘴気が濃い」


「え、怒られないスか、俺」


「怒る? 何故だい、悪魔は皆、下界へ降りたいと熱望している、神核が無ければ魔王が真っ先に顕現しているさ。我々魔王は神気を必要とするが、瘴気で補える。神国メタリハの様に大地が怨嗟でよどんだ場所は、短時間の滞在は可能だがね」



 そう言ってあごをしゃくり、俺の視線を足元に正座する女へ誘導した。


 居たな、そう言えば。誰だコイツ?

 久しぶりに鑑定アーユスしてみますか。

 アユスヴェーダさんが居ないと面倒ですねぇ。


 さて…………えぇぇ。


 だだの奴隷かと思ったら聖女だコレ。でも、弱いな。

 レベルは100を超えているが、能力値が低い、総合力60万?


 あぁ、スキル熟練度が低いのか。ジャキやレインなら余裕で勝てる。


 エオルカイ?の加護は有るが(極微)って……あぁっ!!

 アートマン様がシバいた奴かっ!! なるほど。


 この女の名前からして日本人だが……親は馬鹿なの?

 この名前は無いだろ~、桧野登美子ひのとみこってお前……


 日本史に残る悪女と姓名の読みが一緒ってなぁ……



 まぁ、大体の事情は察した。

 コイツが教国で悪魔と関わったわけだな。


 ひょっとして……



「コイツ、悪魔召喚したんスか?」


「ああ、私の眷属をね。しかし、ヒマだったので私が代わりに顕現した。その時の召喚陣が貧弱でねぇ、術をナメているのか陣の固定も惰弱、無理やり固定してこじ開けたよ、アッハッハ」


「おぅふ……もしかして、契約も?」


「したね。教国にある全てを差し出してくれたよ、もちろん、自分の身も。ここまで剛毅果断な人間は過去に例が無い、この女だけだ。御自慢の魅了スキルも自由に使えなくなるのになぁ、理解し難い知能の低さだよ。まぁ、私や君には初めから効かんがね」



 ファーー……

 自分含めて教国の全てって……


 コイツも頭にデバフ掛かってんの?

 人間は大量破壊兵器の取り扱いが雑すぎんか?


 早々に自爆してくれるのは助かるがよ。


 そんな事より、どうすっかな……

 大魔王さんの『資産』に物申すわけにはいかんが……



「あのぅ、大変無礼かと存じますが、教国に居た魔族を――」


「構わんよ、連れて帰ると良い。彼等は元々数も少ない、娘婿が護ろうとする民を奴隷のままにしてはおけん。どれ、今すぐ奴隷解放の指示を出そう。あぁ、加虐者はこちらで地獄に送っておく、心配無用だ」


「何から何まで、有り難う御座います」



 女に向き直る。


 淫売の肩がピクリと跳ねた。


 俺は立ち上がって女の前に立ち、女の髪を摘まんで体を持ち上げる。ちょうど汚ぇツラが俺の顔にくる高さだ。


 大魔王さんの所持品だからな、丁寧に扱うのだ!!


 女は摘ままれた髪を両手で掴み、痛がりながら俺を睨む。

 睨むなよ、今すぐ殺したくなるじゃねぇか。


 それでは、尋問タイムです。



「おめぇ、遊びで何人殺した?」

「クッ、死ねっゴリラ!!」



 おぉ、コイツも間違いなく地球の人間だな。

 はいはいゴリラですコンチャー。

 威勢の良い姉ちゃんだなオイ。


 でもな、俺は気が長ぇ方じゃねぇんだよ。


 チラリと大魔王さんに目を遣る。

 彼は肩を竦めて「どうぞ」と言った。


 女の顔が驚愕に染まる。何だぁオメェ……

 何、助けてもらえると思ったの? 大魔王に?


 威勢が良かった理由はそれか? 舐めやがって……

 そんな下らねぇ威勢で俺の質問無視してんじゃねぇよ。



「あ~ナオキ君、その女は小児性愛者だよ、痛めつける方の」



 その声が耳に入った瞬間、俺は女のツラに頭突きをブチ込んだ。


 グギョバキと耳障りな音を立て、女のツラは陥没。

 オイオイ死ぬなよ、まだ死ぬのは早ぇ。



「ドゥルジ」

「はっ」



 ドゥルジがダンジョン産の上級回復薬を女のツラにぶっ掛ける。


 メキッ、モコッ、ムキョッと復元完了、気色悪ぃ。


 目の焦点が合わない女の左頬を軽くデコピン。

 バキャンと破裂音を響かせ頬が弾ける。


 痛みで女が覚醒、両手で頬を押さえて暴れる。



「そんなにガキが好きなら、死ぬほど産ませてやる」



 創造召喚リストから悪魔を検索……ほほう、いいねぇ。


 でもコレ、電波さん関係じゃねぇかな?

 地球由来の悪魔とは思えんぞ? 名前も発音出来んな多分。

 まぁ翻訳さんがなんとかして……名前決めて造れるじゃん。


 今回は細かい設定をしておくか……

 ……こうして、ここも、それで、少し変えて……ヨシッ!!



「来いっ全身性器『パコレイパー』ッ!!」 







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