第142話「三億の収賄っ!!」





 第百四十二話『三億の収賄っ!!』





 今夜の駄目男修正会議は長い……

 教国の魔族介入話など体力を削られますなぁ……



『お気になさらず。あっちはアートマンが処しますので』



 処しちゃうかぁ、処しなさるかぁ……

 僕にはどうしようもない案件ですね。


 そんな事より、オシッコ漏れそうなので休憩にしようぜ!!



『??……先ほど漏らしたでしょう? まだ残っているのですか?』



 ヴェーダが何か言っている、意味が分からない。

 尿意は不意に襲って来る、常識だ……っ!!


 少しトイレ休憩を挟み、マッタリする。


 カスガは俺を見つめながら小さく千切った干し柿を口に放り、二本の触角を揺らしてモグモグと咀嚼する。すこ。


 アンデッドの隠し場所に対する答えは、彼女が口に含んだ干し柿を呑み込むまで待つとしよう。カスガとアカギのセクシーな蟲腹を撫でながら待つとしよう。


 男らしさ限界突破感のあるダンディーな俺のハンドで撫でられた二人は、同時に「ンッ」と妖艶な声を漏らし、俺へ預ける体の傾斜角度を鋭くさせた。


 フフッ、甘えん坊な熟女達だな。甘熟だな。だがしかし、二人の容姿は熟女らしからぬ若々しさである。


 蜂糸布製の白いマーメイドドレスに身を包む長身のカスガ、蜂糸布以上に稀少な『蟻糸布』で出来た薄い桃色の民族衣装を着た小柄なアカギ。


 両者とも十代のお姫様に見える。美肌セットで若返ったこの二人を、誰が四十路のBBAだと看破出来るだろうか。



『ナオキさん、“四十路のBBA”は問題発言ですよ?』



 おっと、それはイケナイ。訂正する。

 冗談でも言ってはいかんな、悪かった。


 しかしヴェーダ、熟女好きゴリラに何を言っている?


 五十代の女性を俺は『可愛いレディー』だと思っている。


 四十代は『素敵なお嬢さん』、三十代は『小便臭ぇガキ』。

 二十代は『生まれたばかりのベイビーかと思ったぜ』。

 十代は『細胞分裂始めました?』。


 俺の認識ではこうなっている。



『魔族限定ですよねソレ、そんな事よりBBA発言は駄目ですよ?』



 すみませんでした。


 俺の熟女愛を魔族限定とされてしまった……

 いやまぁ、この世界では必然的にそうなるなっ!!


 たはーっ!!


 とにかく、小柄なアカギは女子高生と言い張る事も可能だ。セーラー服を着た自称高校生のAV女優が如き『無理があるだろ感』は無い。


 おやおや困ったな、愛おしさの余り撫で回し過ぎてアカギの蟲腹全体が脈打ってきたゼ……ハァハァ……


 蟲腹の先端、蟲尻から甘い香りが漂う。

 相変わらずボタン外しっぱなしの股間からも……


 まったく、ヤレヤレだぜ(勃起)。


 アカギが右手を俺の股間へさり気なく移動させ、そのまま腰巻の中へ滑り込ませてきた。お転婆が過ぎるぜアニー。


 さぁ、お嬢ちゃん、悪戯イタズラは終わンッァァ~ッ!!


 ま、待たないかンゴォァァ~、そんな、握るなっ!!

 まだ話し合いの最中ゥンハァァ~、上下運動はヤメんほぉぉ!!


 見ろ、トモエが謀反直前の明智光秀みたいな顔をしてこっちを見ているじゃないかっ!! 見た事ないけどっ!!


 とりあえず、じゃじゃ馬を落ち着かせよう。ちょうど、俺の口元にアカギの触角があるので、感度良好な二本のそれに素早くゴリラキッスを撃ち込む。


「ぁん」と甘い吐息を漏らして肩を震わせるアカギ。


 俺は彼女の蟲腹に浮かぶ太い血管を指先で撫でながら、小さく可愛い耳にゴリラリップを近付けてハードボイラーボイスで囁く。



「アニー、右手で掴んでいる『ナイフ』を放してくれ」

「あら、どうしてぇ? ウフフ」


「今夜はソイツで君を何度も貫く予定だ、その前に『刃こぼれ』させたくない」


「……はい」

「グッド、好い子だ」


『トモエの周囲に空間の亀裂が多数生じました、危険度はレベル5、おたわむれもホドホドに』



 ヴェーダの『トモエ注意報』が脳を揺さぶる。

 ちなみに、危険度は8が最も高く、今回はかなり危険だ。


 恐怖で数秒間心臓が止まった感があるが、突然死は回避出来た。トモちゃん関連の注意勧告は無条件で従うのがベストだ。本当に有り難うヴェーダ。


 落ち着いたアカギの腰を撫でつつ、明智トモエさんにゴリラウインクを放る。届け、俺の想いっ(助命)!!


 哀願を包んだゴリラウインクは、なんとかトモエに届いたようだ。


 口をモニョらせたトモエが頬を染める。彼女は「フンッ」と顔を背けると、腕組の状態から右腕だけを解放し、右の頬に右手の指を三本添えた。


 クッ、助命嘆願は受理されたようだが、賄賂を要求された。


 あの三本の指は『三イク円』を所望するという意味だ。右手を頬に添えて物思いにふける悩ましげなポーズなどではない。


 あれは寡黙で残虐なマフィアのボスだけがとれるポーズである。


 ジーザス……


 今夜は彼女を最低でも三回、潮吹きオーガズムに導く義務を負ってしまった。ヤツの総合力は一億超えだぞ、無理だ……っっ!!


 三億円持って来いと言われた方が安心する不思議。

 これは困った、三イク円などという大金を彼女に渡してしまうと、資金玉不足に陥ってしまう。


 安全面を考慮すれば、アカギに渡すと約束した『ナイフ株』はアカギ以外へ売りに出せない。


 しかし、カスガとイセにも最低一株ずつ売らねば機嫌を損ねる……



『御安心を、アカギの体力ではナイフ株の買い占めなど不可能。売れ残った株の八割をトモエとイセに、残りをカスガに売却すれば…… 今宵は素敵な時間となるでしょう。いざとなれば、ナイフ株の他に『中指株』と『舌株』も有りますので、トモエに支払う三イク円も問題有りません』



 ウッホ、さすがだな、良妻皇后ヴェーダ。


 円満なハーレムを形成するには、君の助けは必須だ。来春、種付けシーズンの際は、この調子で頼むぜオナシャス。



『畏まりました。ところで、カスガが十六個目の干し柿に手を伸ばしておりますが』


「なん、だと……」

「ん?」



 この数分間で十六個?

 食いしん坊ジャキを軽く超えるスコアだぞ……


 カスガは「何だ? お前も喰うか?」的な表情を見せ、左手に持った十六個目の干し柿を俺の口元へ運んできた。要らんよ、満腹だ。


 ひと先ず、休憩という事にして、話の続きはカスガのオヤツタイムが終わってからにしよう。









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