第110話「へへっ、結局こうなるのさっ!!(白目)」
第百十話『へへっ、結局こうなるのさっ!!(白目)』
未だ中部と深部の動きは無い。
今のうちにやれる事をやっておく。
そう言えば、メハデヒ王国は大混乱のようだ。
辺境伯の爆死と領軍壊滅の報が、遠く離れた王都や各地の領主に広まりつつある。
北西の隣国メタリハ・エオルカイ教国と、東の隣国スーレイヤ王国も、国境沿いで起きた虐殺事件についてメハデヒ王国の駐在官に問い質しているらしい。
しかし、教国に対してはメハデヒ王国の方が強く抗議している。王国内の戦場や国境沿いの村々に教国兵の死体が有るから当然だろう。
南西の隣国アン・スラクース王国は、メハデヒ王国の混乱に気付いていない様子だが、こちらのアカギとカスガも遠いアン・スラクース王国に蟲を飛ばしていない。警戒と準備はしている模様。
ヴェーダはキンポー平原の戦いが終わってすぐ、諜報の蜂を百匹ほどアン・スラクース王国に向かわせたが、王都まで辿り着けていない。
蟲が通過した街や村では、メハデヒ王国の話題をあげる者は居なかったそうだ。
メハデヒ王国側は、他の二国を無視して教国を一方的に非難しているようだが、この先どうなるのかは分からない。
是非、隣接三国で血みどろのメハデヒ王国争奪戦を繰り広げて頂きたい。
『その前に教国は滅びそうですが』
……メーガナーダが何かした?
『いいえ、別件ですね』
ならばヨシ!!
俺達に関わらず滅ぶなら構わんですなっ!!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
九月十日、早朝五時。
大きな雷の音で目が覚める。
三日連続での大雨、台風ではないが風が強い。
隣に寝ているツバキやオキク達中隊長は、鳴り響き続ける雷に触覚をピクピクと動かしてはいるが、起きる気配は見せない。
ピクる触覚が可愛いので触りたいが我慢する。
それが、好い男の条件、だ。
あ、偶然触ったのはヨシ!!
地下帝国に神木を植えてから一週間が過ぎ、俺は二十八体の神像を彫り上げた。良い仕事してますねぇ~。
しかし、何の特技も取得していない。
ヴェーダには『当然です』と呆れられた。しょぼん。
魔族は人類よりスキル獲得が難しい。
誰かに技術などを学ぶ場合のスキル修得は自力取得よりも早いが、人類はもっと早い。
人類が彫像を三カ月も続ければ、熟練度1の彫刻スキル等を取得するらしい。魔族はその倍は時間が掛かる。
俺は魔力を宿していないので、厳密に言えば魔族ではないが、人外枠はスキルの獲得にハンデを負うのが『遊戯のルール』なのかも知れない。クソゲーってヤツだな!!
しかし、人類は基礎能力が低い為、早期に獲得したスキルの熟練度を必死で上げなければ、総合力の底上げに繋がらない。
だが、これも魔族とは違って熟練度の上がりも早いので問題にならない。
異世界人などは基礎能力も高い上に、スキル獲得も容易、
このクソゲーを考えたヤツをシバキ回したい。ワゴンセール行きだぞクソが。
この設定でさらに地味な筋力トレーニングやランニングなどの基礎的な身体強化で努力をされると、さすがにお手上げなのだが、勇者達はレベルとスキル熟練度を上げる事だけに集中する為、基礎能力がまったく上がらない。
筋肉など「何それ」状態で放置されているので、実際は生後半年のゴブリン以下、大森林最弱以下の筋力しかない。
心肺機能も鍛えていないので、同レベルの勇者同士が戦えば、肺活量が多い者が十中八九勝利すると言う泥仕合を見せてくれるらしい。
その上、各種『技術』が笑えるほど低い。しかし、スキル熟練度が高いので総合力は高い。
他人のスキルを奪いまくった挙句、結局そのスキルを使わずに死蔵するアホも居るそうだ。スキル熟練度も軒並み低いので総合力は殆んど上がらない。
馬鹿の考えている事は本当に解らない。
願わくは、魔族狩りや養殖狩りを努力と勘違いしたまま、ゲーム感覚で三皇五帝のダンジョンに挑み、早めにくたばってくれる事を望む。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
三日も雨続きだと屋外作業が遅れる、などと言う事は無い。
妖蜂族が築いた第一砦は増改築を終え、今では立派な城だ。
拠点の東西南北に建設していた小さな砦も、水濠と巨大な壁に囲まれた要塞と化している。
南には更に二つの砦が築かれ、その砦は八方に
ほぼ全て妖蟻族が固めた土造建築だが、新しく建てた木造の櫓にも妖蟻族が土のコーティングを施し、耐久力を上げている。
さらに、砦や要塞の中庭には1mの神像を取り込んだ15mほどの神木が植えられており、水濠の周囲には『手乗り神像』が三重の輪となって埋められている。
要塞や砦の中庭に移植された神木は巨木ではないので簡易結界の範囲は狭いが、神気の魔法障壁を破るのは至難の業だ。
低ランクの冒険者や中部の魔族では、まず攻略出来ないだろう。
浅部の南側には妖蟻族が落とし穴と土塁を『アホか』と言うほど設置しているが、現在は長城の城門が四つとも閉じられている為、森に侵入して罠に掛かった冒険者等は居ない。
数頭の大イノシシが毎日落とし穴に落ちているようだ。狩りが楽だと女衆が喜んでいた。
俺達にも罠の場所は分からないが、ヴェーダが『前方に罠有り』と教えてくれるので、今のところ事故は無い。
無論、眷属以外の立ち入りは禁止だ。普通に死んでしまうからな、あの落とし穴は。
屋外での作業、主に建築作業だが、予定された建築物は全て建て終わり、増改築も完了している。
妖蟻族が次に地上で行っているのは開墾と整地、そして道路建設。地下帝国の拡張も同時進行だ。
開墾と整地は最初に神木の在る『聖地カンダハル』から西浅部に掛けて行う予定で、邪魔な樹木は全て地下帝国に移植、岩石等は神木倉庫送りとなっている。
道路建設はカンダハルから東浅部各所を繋ぐ為のもので、全長約290km、幅21mの道が完成する予定。道は両側を高さ3mの土壁で挟む。
当初アカギは、俺とアカギとカスガ専用の『
しかし、馳道に設置する予定だった両側の壁はそのまま設置してもらった。
一般市民が通る道なので、少しでも危険を減らしたい。両側の壁は危険な野生動物などからも護ってくれるだろう。
この道路には1km置きに地下へ繋がる避難所を設け、3km置きに見張り櫓を設置し、9km置きに森へ出る門を造る予定となっている。
地下へ降りると巨大な地下道に出るが、ヴェーダが指揮する数万の蟻が地下道内を哨戒し、帝国へ繋がる地下道への入り口には駐屯所と小さな神木による簡易結界が張られている為、邪心有る者は侵入が困難だ。
だが、どんなに厳重な防衛策を採っていたとしても、完璧ではない以上、潜入を許してしまうだろう。
アートマン様の御力が戻り結界が完璧な物になれば、死角の無い球体の結界でガンダーラ全体を覆う事も可能だ。
本来ならば、加護を与えて下さる神に頼らずに自分達で対策を編み出すべきだが、如何せん実力不足、経験不足、努力不足、足りないモノが多い。
満ち足りているのはヴェーダが与えてくれる知識と情報収集能力、そして現状把握と掌握能力。しかし、それも全てヴェーダの力、アートマン様から賜った力だ。
ヴェーダと言語理解・翻訳の加護以外は、この世界に岩ごと産み落とされた際に俺の素質で得た特技と能力らしいが、ガンダーラの役に立っているのはアートマン様から賜ったヴェーダと加護の恩恵ばかりで、俺自体の能力はほとんど役に立っていない。
FPで得られる恩恵は皆の信仰心、これも俺の力ではない。
俺が他の者より勝るところを上げるなら、四歳から始めたアハトマイト割り筋トレで得た馬鹿力と、ひたすら瞑想する事で得た精神統一の二つ、それだけか……
『異常なほど溢れ出るフェチモンもお忘れなく』
「そりゃどうも。お陰さまで美女を口説き易いよ……」
フェチモンは有り難いが、他にも何か、何か有るはずだ……
レベルを上げて強くなるとか、そうではなく……
ガンダーラの為に俺がもっとこう、『有益な強さ』というか……
『そこまでお悩みなら一言……そもそも、貴方が未だに精気しか宿していない事が不自然なのです』
「ん? 何で?」
『貴方は【岩仙】の称号持ちですよ? 岩の仙人です』
「え~っと、それが何?」
雨は激しさを増している、それは
あ、違うコレ俺の涙やっっ!!
俺の涙やんけぇぇぇっ!!
ヴェーダの話を聞いた俺は、後悔と反省で涙するのでした。
『そうやってまたフザケて……』
いやいやいや、待ちたまえ!!
前世も含めてこれほど真面目に悔いた俺は存在しない!!
『……そうですね』
ッッ!! 存在しないのです……っ!!
……信じてクレメンス。
ネタに走らない俺を相棒が信じてくれない件について。
これも日頃の行いが招いた結果なのですね……クソう。
……へへっ、結局こうなるのさっ!!(白目)
覚えてなジャキ……
ネタに走らねぇゴリラは……ただのゴリラ、だ。
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