第24話 決意。
窓の外、空には月が二つ、ポッカリと浮かんでいた。
この世界にきて三度目の夜だけど、こうして夜空を見上げるのは多分初めて、かな?
こんなにも綺麗な月が二つも昇ってくるだなんて、気が付かなかった。
っていうかマギアクエストのゲームの中ではこんなこと特に語られた記憶がないんだけど?
月が二つもあるだなんて。
もしかしたら、だけど。
もともとあった異世界をもとにして作られたのがマギアクエストだとかそういう話なのかな?
ティファはこの月を見ても何にも反応がなかった。
あたしが驚いているのを見て、何こんなことで? みたいな目で見てきたし。
きっと、この世界に月が二つあることはほんと子供でもわかる常識なのだろう。
案外常識的なことほどわざわざ語られることはない、というし。
ゲームの中でもきっと「常識」であったんだろうな。
わざわざそう語られることが無いほどに。
スチル映像でもわざわざ月が二つ並んでいるシーンとか使われていた記憶がない。
まあ3Dホログラムゲームとはいえ、VRゲームほどの自由度があるわけでもない。
あたしが気が付かなかっただけなのか?
それともここはやっぱりゲームとは違うのか?
なんだかいろんなことを考えてしまう。
ちょっとナーバスになっているからかな。
あたしは今からノワを襲った奴らのところに行ってくる。
今夜はノワにはどうしてもとお願いして残ってもらうことにしようと思う。
あの三人を相手にノワを守りながら戦うのはやっぱり不安。
万全なノワであれば別かもしれないけど、それはそれでちょっとね。
それに。
彼らの口から兄王子たちの悪行が語られた時のノワの反応も怖い。
悲しみを通り越して恨みに凝り固まった魂があの黒獣だったのだから。
夕飯を頂いてまったりして、今はノワはティファに構われている。
まだ子猫のままなんだけどね? ノワ。
ほんと今夜はこのまま子猫のままでいてくれたら。
そのままティファに預けて行っちゃおうか。そうも思う。
偵察をしているクモコの眼を通じて状況を見る魔法、シェアアイズの魔法で奴らの動向は把握している。
どうやら奴ら、今夜にも宿を引き払って旅立つ予定っぽい。
それも深夜の闇に紛れて。
あたしの左目のドラゴンズアイに映し出される三人の映像。
荷造りも済んで、もう出かけるばっかりの様子。
確認している地図からは、どうやら林を迂回し丘を登って、そして国境まで出る算段のようだ。
って言うかあのあたしが目覚めた丘、奴らもそこを通ってこの街に来たっぽい。
ならば。
あたしは丘に先回りして待ってようか。
林に出現したダンジョンの噂のせいか、夜間に出歩くのは門番さんも許してくれないだろうけど。
そこはそれ。
今のあたしには色々手段があることだし。
そんなことを色々考えながらインベントリから装備を取り出す。
まずは
これは攻防一体の要。欠かせない。
そして、
額に装着するティアラだけど、あたしのドラゴンズアイを補助しマギアを制御する知性の要。
もちろん頭部の防御も担っている。
次。
右手の人差し指にはめる、指輪。
ダイヤのような輝きを放つのは創造のギア・オプスの結晶体。
そして背中に装着するのは
天使の羽根。
そして。
最後に顕現させたのは、神殺しという逸話のレアアイテム。
名剣、グラムスレイヤー。
とりあえずこんなところかな。
絶対あんな奴らには負けてやらないんだから。
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