第7話 飛翔
ユナが15歳の春のことであった。
中学校からの下校時。
もうすぐ自宅の玄関に着くところで、
大量のペットボトルを積んだリサイクル業者の道幅ギリギリのトラックが、
とても急いでいたようで、猛スピードで角を曲がって家の前の道に侵入してきた。
イヤホンをつけて大音量で音楽を聞きながら歩いていたユナは、
トラックが角を曲がって道に侵入してきたことに気づかなかった。
トラックの運転手はとても急いでいたのと、
遠くの方で雷が鳴ったことに気を取られ、どの方角に雷が落ちたのか、
稲光を探そうと上方を見てキョロキョロして、ユナに全く気付かなかった。
猛スピードで突っ込んできたこのトラックに当てられ、
ユナは宙を舞った。
近所のプリミチャイさんの奥さんが、倒れたユナを発見し、
すぐに救急車を呼んだ。
しかし、ユナは心肺停止後、一週間でこの世を去った。
◇ ◇ ◇
ユナの養父は、葬儀の手配をした。
ユナの産みの母親は、葬儀には参列しなかった。
外面が良いユナの養父も、葬儀の日ばかりは黙って塞いでいた。
ハナの両親をはじめとして、近所の大人たちが葬儀の手伝いをした。
ハナは、枯れることのない涙を流し続けた。
胸が締め付けられ、時々息ができなかった。
ハナは生まれて初めて、人生に、こんなにも残酷な悲しみがあることを知った。
ハナはしばらく、高校を休んだ。
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