毎日100万円もらえるようになったのだが、僕はどうすればよいだろう。

@Langhans

第1話 ある日突然毎日100万円がもらえるようになった。

 僕、浦賀大志はさえない25歳のサラリーマンだ。

 さえないといっても、今の世の中で定職につけているだけでもありがたいことなのだろう。最寄りの駅まで15分かけて歩き、通勤電車に揺られ、会社で働き、そこそこ残業をし、そして帰る。土日も休みがもらえるが、特に趣味もなくスマホでゲームをしたり、動画サイトで動画を見たり。特に大変な生活ではないが、もらえる安月給では節約もできない僕は、貯金もできていない。

 貯金をできていないのにはもう一つ理由があって、駅に行くまであるお地蔵様に、会社に行くときは毎日100円をお供えしているからだ。ほこらみたいなところにいるが、なんともくたびれた感じで、まるで僕のような感じがして、なんとなくお供えをはじめた。始めた時の僕は、自分に対する投資と思ったのだろうか。帰りに見てみるとどんな日でもお供えした100円はなくなっていて、誰かが持って行っているのだろうが、もしかしたらお地蔵様が受け取ってくれているのかもと思いつづけていた。


 そんなさえない毎日のある日。目が覚めると部屋に100万円を持った、僕の好みのタイプをすべてかなえたような女性がいた。

「目が覚めたようだね。いつも100円ありがとう。今日はそのお礼さ」

透き通るような声。整った顔立ち。ふわっとかおる良い香り。

「な、なんですか。いきなり」

僕はおどろいた。

「すまないね。驚かせるつもりはなかったけれど。私は君がいつも100円を納めてくれている地蔵さ。正確には地蔵じゃないのだけれど、君にとっては些細なことだろうからいつもみたいにお地蔵様と言ってくれればいいさ。昔はこのあたりの人間がお供えものをしてくれていたのだけれどここ100年ぐらい、何もなくてね。ここ数年の君のお供えはうれしかったよ。同時にすこし力もとりもどしてね、こんな奇跡をおこせるようになったよ」

お地蔵様は僕にそう言って100万円を渡した。

「は、はあ・・・」

僕はいまいち状況が読み込めない。読み込めないなりにも100万円が手元にあることは確かだ。100万円の束がすべてちゃんとお金か確認してみると、すべてちゃんと1万円だった。

「どう使うかは君次第さ。これから毎日100万円が君の枕元にとどく。良いように使ってくれ。私は1か月後にまた来る。その時また話そう」

お地蔵様は部屋を出て行った。慌てて僕は追いかけてたが、外を見渡してもそれらしい人影はなかった。僕の手の100万円はなくなってはいなかった。








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