異世界太平洋戦争!朝起きたら白の軍服着てクソ硬いベットで寝てたんですが、これって例の異世界転生すか?
トンカッチ
第1章 転生初期、右も左もわかりません!
第1話 ベッド硬くね?
いつものうるさい目覚まし時計が鳴る。それは俺の業務開始時刻を表していた。
近藤安彦、45歳、独身、職業は自宅警備員。
それが俺だ。いつも机に置かれた冷え切った朝飯を2階の警備詰所に運送する。そしてパソコンを起動してゲームを開始する。このルーティーンを23年繰り返してきた。
今やっているゲームは30年前からずっと続いている総合戦争ゲームの、バトルウォー(略称BW)の中でも最も熱いBWワールドである。
これは世界各国の人間がリアルタイムで進行していく実際の兵器や気象、地形を完全再現した戦略ゲームだ。
いつも俺は日本軍でかなりの縛りプレイでやっている。1番大変だったのは海は輸送船、陸は日本刀のみ装備した大和魂部隊だけで他のプレイヤーを全滅する縛りだった。そんなわけで生粋の日本軍好きだった。けどこのゲームは勝利条件である「サーバー内の1人を除く全プレイヤーが戦闘不可能状態になる」が100日以内に誰も達成できない場合、そのサーバーの進捗状況は
リセットされるのだった。今回のサーバーは全員消極的で攻めてこないで防衛し続ける暇なサーバーだったので早く100日が過ぎないかと待っていた。そんな中での今日だったのだ。そう、今日がその100日目だ!嬉しさのあまりお隣さんにまで聞こえて苦情を言いつけに来るぐらい
発狂していた。しかし、いつまで経ってもサーバーリセットが始まらなかった。
「くそっ!他のみんなはもうサーバーリセットされてんのになんで俺だけ!」
愚痴をこぼしていた時、
目の前がどんどん暗くなっていった。
意識はあるのに体は動かない。
「や、やばい。こ、れ、死・・・。」
「中将?根東中将?大丈夫ですか?生きてますかー?もしもーし?」
遠くから女の声が聞こえた。全身がギシギシ痛んでいる。そして、ベッドが硬い!
そう知覚すると同時に目を覚ました。
「・・・what?」思わず言ってしまった。
何故なら服がジャージから既視感ありまくりの大日本帝国軍の真っ白な軍服に帯刀しており、目の前にはめちゃくちゃ可愛い女の子がいたのだ。
「中将、やっと起きましたね。せっかく今日は新造艦の視察日だったのに大寝坊ですよ!」
「・・・・・・・・・・・・・ゑ?」
さっぱり意味がわからん。中将?新造艦?視察?訳のわからない単語が頭をさらに困惑していく。それに追い打ちをかけるように、
「中将!これ明後日までにやるわー、って言ってた書類なんですが一切手つけてませんよね?今日はもうその明後日なんですけど!」
「・・・・・・・・・・・・・ゑ?」
そして一つの考えに至る。
俺、異世界転生したんじゃね?
と。試しに質問する。
「今何年?」
「は?昭和10年ですけど、本気ですか?」
「俺の名前は?」
「え、本当に大丈夫ですか?貴方は、根東康彦中将でしょうが。それ以下でもそれ以上でもないでしょうに。」
「ここどこ?」
「横須賀ですけど・・・・」
なるほど、どうやら俺は異世界転生したらしい。そして最後にもう一つ質問をした。
「・・・ベッド。」
「はぁ?なんですか?」
「・・・・・・ベッド硬過ぎやないかい!」
「知りませんよ!」
こいつはとても苦労しそうだぜ。
そう沈む夕日に思った。
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