比翼の世界
仲仁へび(旧:離久)
第1話
照らして、照らされる。
対になり、二つで一つ。
どこかのかなたには、そんな世界達があった。
その世界は一つでは存在できない。
一方の世界「明かりの世界」は、もう一方の世界「暗がりの世界」を照らす事で、必要なエネルギーをうみだしてもらっている。
もう一方の「暗がりの世界」は、別の「明かりの世界」から照らされる事で、狂暴な生物が活動する「闇の時間」を短くする事ができた。
その世界達は、決して欠けてはならない。
欠けては、なりたたない。
もしも、どちらか一方が欠けたてしまっらら、もう一方も運命を共にしてしまうだろう。
だから、二つの世界は手をとりあって、互いに存続してきた。
「暗がりの世界」は、効率よくエネルギーを生み出す方法や、そのエネルギーを素早く届ける方法を研究し。
「明かりの世界」は、遠くまで明かりを届かせる方法や、その明かりを強くする方法を研究していた。
しかし、そんな二つの世界に危機が訪れた。
どこからかやってきた蝕という化け物が、世界を喰らいつくそうとしていたからだ。
それは、満たされる事のない飢餓感を抱えたもの。
暴食という罪を孕んだ化け物「蝕」は、今までに多くの世界をのみこんできていた。
そこから逃れられた世界は、皆無。
比翼の世界は決断を迫られた。
どちらかの世界を差し出しているうちに、もう一方の世界が逃走の準備をはかれば、もしくは防御の準備をはかれば、事はなんとかなるかもしれない。
しかし、それでは二つとも生きられはしない。
結局は二つともいずれ滅びてしまうだろう。
ならばと彼等は決断する。
共に生きる事ができないのなら、最後まで共に生きて死ぬしかないのだと。
それは決断とはいえないもの。
諦めににたなにか。
しかし彼等は曲りなりにも、自分達の結末を決めた。
最後まで己らしくあるために、最後まで己を見失わないために。
やがて蝕はたどりつき、その二つの世界は喰われていった。
化け物の腹の底にたどり着いた世界は、地獄でもなお共に在り、比翼の世界であり続ける。
その形は、死後も失う事がない。
それから、長い時が経ち。
世界が再生を果たす。
蝕の腹を引き裂き、地獄から蘇る。
そんな奇跡が起こるいつかかなたの未来。
その時まで。
ずっと。
比翼の世界 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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