1ページ語り。

4

#1 帰り道。

白い粒のような星がぽつぽつと空に浮かんでそして、古びた白い電灯が夜道を照らす。

なんでもない帰り道はなんでもない住宅街。疲れきった足をせっせと前に運んで家路を急ぐ。古ぼけたコンクリートの塀を曲がり、後ろへ行く電柱をなんとなく目で追って、少し大きめなアパートの柵を開ける。


廊下を歩くと壁が薄いから、いろんな人生が聞こえてくる。TVの音、会話、子供を叱る声、なんか。廊下に面した窓から見える光は日常の色だとしみじみ思う。


一番奥の部屋。

玄関につく光りは妾を待っていた。出しかけていた鍵をくたびれた鞄にしまい、ドアノブに手をかけた。



─なんでもないいちにちのおわり。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る