1ページ語り。
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#1 帰り道。
白い粒のような星がぽつぽつと空に浮かんでそして、古びた白い電灯が夜道を照らす。
なんでもない帰り道はなんでもない住宅街。疲れきった足をせっせと前に運んで家路を急ぐ。古ぼけたコンクリートの塀を曲がり、後ろへ行く電柱をなんとなく目で追って、少し大きめなアパートの柵を開ける。
廊下を歩くと壁が薄いから、いろんな人生が聞こえてくる。TVの音、会話、子供を叱る声、なんか。廊下に面した窓から見える光は日常の色だとしみじみ思う。
一番奥の部屋。
玄関につく光りは妾を待っていた。出しかけていた鍵をくたびれた鞄にしまい、ドアノブに手をかけた。
─なんでもないいちにちのおわり。
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